アメリカのフィーメールラッパー〈Nicki Minaj(ニッキー・ミナージュ)〉が、8月10日にニューアルバム『QUEEN』をドロップした。
ヒップホップアルバムではあるが、至る所にダンスホールの要素が詰まった注目の作品だ。
一曲目の『Ganja Burns』からタイトル・フロウ共にダンスホールのフレーヴァーを感じさせる。曲中のリリックにも“Bring the heat to her, sizzle ‘em, ain’t talking Kalonji”とジャマイカのレジェンドアーティストであるSizzla Kalonjiの名前が登場し、レゲエファンであればついつい反応してしまうポイントだろう。
また、ダンスホール目線からの注目を特に集めるのはアルバムのラスト2曲に収録された『Coco Chanel』と『Inspirations Outro』だ。
ブルックリン出身のレジェンドフィメールラッパーFoxy Brownをフィーチャリングに迎えたCoco Chanelでは、ダンスホールの定番トラックであるShowtime Riddimをサンプリング。(Showtime Riddim:ジャマイカを代表するプロデューサーの一人であるDave Kellyによって1997年にリリースされ、2018年となった現在もパーティーでは毎回のようにプレイされている超ビッグリディム。)
さらに曲中では“Illest to ever do it, tell’ em fi recognize.Unuh Kartel, dem fi free up Vybz”と獄中にいるVybz Kartelの釈放を願うリリックも。
アウトロとして最後に収録されたInspirations Outroでは、Coco Chanelと同じトラックに乗せレゲエやダンスホール、ソカのビッグアーティストたちの名前を歌いリスペクトを送っている。
【Inspirations Outro(Lyrics)】
Capleton, Beenie Man, Mavado, uh oh
Sizzla Kalonji, Kartel, Buju, go so
Supercat, all over his Ferragamo, I know
Destra Garcia, Machel Montano, Jah know
Ninja Man, Lady Saw, Spice, Tanya, Patra
DJ pull up, Bounty Killer, uh-huh
Bunji Garlin, Fay-Ann Lyons
Anything we wear, girl gwan try on (okay)
Bless up, Bob Marley, yes, king lion
Marchin’ with Lauryn Hill to Zion
Caribbean tings what I am
Me and Fox gettin’ paper like we ink dryin
ジャマイカと同じカリブ海に浮かぶトリニダード・トバゴ出身の彼女は以前からもダンスホールに対してアクティブで、過去にはMavado, Beenie Man, Gyptianなどのアーティストとコラボした楽曲もリリースしている。
また、Nicki Minajと同じく絶大な人気を誇るフィメールシンガーのRihanna(リアーナ)も現在ダンスホールアルバムを製作中とのこと。世界的なディーバたちがダンスホールヒットを生み出せばもちろん日本を含む世界中のファンたちが興味を持つきっかけにもなるだろう。近年低迷していると言われ続けてきたレゲエ・ダンスホールシーン、近い未来に再度光が当たる日が来ると期待したい。