GACHA [MEDZ MUSIC] インタビュー | ジャマイカのトップアーティストをプロデュースする日本人

Interview




ジャマイカのミュージックシーンに君臨する2人のアーティストによるニューソング。その裏には、ダンスホールに人生を賭ける一人の日本人の存在があった。

キング・オブ・ダンスホールとして知られる〈Vybz Kartel(ヴァイブス・カーテル)〉と、現在ジャマイカで最も注目を集めているクルー6ix(シックス)のボス〈Squash(スカッシュ)〉によるコンビネーションソング『Beat Dem Bad』。公開と同時にシーンの話題をさらった楽曲のプロデュースを務めたのは、ジャマイカに在住の日本人プロデューサー/トラックメーカー〈Gacha(ガチャ)〉。

これまでにもMavado, Alkaline, Aidonia, Jahmiel, Konshensなど、数々のトップアーティストへの楽曲提供やプロデュースを手掛けてきた彼が、まさに「ダンスホール最前線」からの貴重な声を届けてくれた。

 

– BUZZLE MAGAZINE(以下BM):SquashとVybz Kartelの同時プロデュースには本当に驚きました。今のジャマイカのダンスホールシーンではトップの人気を誇る2人ですよね?

GACHA:そうですね。Popcaan、Masicka、Aidoniaとかも人気ですけど、ゲットーでの支持はその2人がダントツだと思います。

– BM:どういった経緯で2人のトップアーティストたちとの楽曲制作に至ったんですか?

GACHA:自分の活動として、常にジャマイカのホットなアーティストとはやろうとは心掛けてて。
Squashが流行り出した時からリンクしようとは思ってたんだけど、ジェイル(刑務所)にいたりで全然リンク出来なくて、出てきてからも普通のアーティストと違ってどこにいるか分かんなかったんですよね。けど、新曲のビデオを撮影するっていう話があって、そのカメラマンがいつも俺らが仕事で使ってるカメラマンで。そこで紹介してもらって関係性が始まったっていうのが最初ですね。

– BM:Squashは今一番勢いのあるクルー6ixのボスだと聞いていますが、どんな人なんですか?

GACHA:不良な割にオケに対してはピュアっていう印象ですね。意外に良い人で、話ができる人だっていうのはみんなも言ってます。誰が嫌いとか、何が嫌いみたいのがない人で、そういうのは見習った方がいいんだろうなって思いましたね。仲悪いやつもいないし。まあ単純に周りがビビってるっていうのもあるんだろうけど(笑)

– BM:そうなんですね。かなりバッドなイメージがあるので意外でした。

GACHA:新しい感覚だなって思いました。今まではクラッシュだなんだってなるのが普通だったんですけど、そればっかじゃシーンが成長しないっていうのを分かってきたのかな、ジャマイカ国内も。レゲエとかダンスホールって誰と誰が揉めてるとか常に多いから自分も若い頃はそうゆうマインドに持ってかれがちだったんだけど、商売がそんなにデカくない状態でそんなことやってるとデメリットしかない。そういうのはSquahから学びました。ポジティブですね。ギャングスタで音も暗いんだけど、ポジティブっていう。

 

– BM:刑務所に服役中のVybz Kartelは、どうやってプロデュースを進めるんですか?

GACHA:最初はSquashにRiddim(トラック)を送ったら気に入ってくれて、もしかしたらKartelとコラボになるかもって言われたんですけど、自分は実際に本人とはコミュニケーション取ってないんですよね。実は、クレジットはされてないんだけど*Silent AddyとChromaticの*Creepもこの企画の一員で。今回のは彼らと進めてるプロジェクトのRiddimでもあって、後にJugglingになる(同トラックで別のアーティストが歌う楽曲もリリースされる)と思います。

*Silent Addy・・・マイアミのダンスホールシーンに多大な影響力を持つトップDJ。
*Creep・・・若者たちから圧倒的な人気を誇る次世代筆頭のサウンドChromaticのメインセレクター。

– BM:それはかなり楽しみです。制作で特に苦労したのはどんなところですか?

GACHA:苦労したのは… Vybz Kartelはク◯ヤロウってことですね(笑)

– BM:(爆笑)

GACHA:でも、マジでKartelはビゴップしてます。Kartelと一曲やってから自分が業界の人間として認められて、他のアーティストの対応も変わったし。やっぱ今の時代のダンスホールのレジェンドだし、別格なんですよね。契約内容が大変でク◯ヤロウって言いたくなったんですけど(笑)もっと早くKartelとやってれば良かったなって思うぐらい、ダンスホールにおいてすごいパワーがある人なんだなって感じました。


 

– BM:今後また、SquashとVybz Kartelの曲をプロデュースすることはありそうですか?

GACHA:今回の曲をすごい気に入ってくれたから、Squashとはこれからもガンガンやっていこうっていう話にはなってますね。
Kartelは色々大変なんで、まあ… 頑張りますって感じです(笑)

– BM:他にも制作を進めてる曲があれば、教えてもらったりできますか?

GACHA:*Walshy FireともコラボしてRiddimを作ってて、ワンセグメントあってそれも6月中には出せると思います。

*Walshy Fire・・・斬新なサウンドで世界的ビッグヒットを生み出し続けるユニットMajor Lazerのメンバー。

– BM:先ほどから名前が挙がっているSilent AddyやChromatic、Walshy Fireと、一緒に仕事をしているのがすごいメンバーですね。

GACHA:Silent Addyは昔から知ってて一緒にマクドナルドとか食べてた仲なんで、自然な流れで。Addyがよくジャマイカに来るようになって、その人たちと一緒のムーブメントでやろうって言ったのがキッカケです。自然にいられるから自分は演じなくていいって言うか、今のダンスホールを作ってるSquashとかKartelとか、彼らの周りに無理して一緒にいるわけじゃないから。Creepとかもみんな友達だし、自分が自分らしく生きてたら、気付いたらダンスホールの一部になれてたような気がするかな。


 

– BM:いわゆるゲットー色の強かったダンスホールが、最近は彼らのようなアメリカナイズされたスタイルがトレンドになってきているように感じます。

GACHA:あの感じを日本にも持っていけたらなっていう会議もしてて、Medzで企画しようかなとは思ってます。オシャレなダンスホールというか、彼らのダンスに来る人たちはそんなに固苦しくないっていうか。アメリカでも、ジャマイカ人だけどジャマイカに行ったことない人とかもいっぱいいるし。次世代の、それこそNew Gennaなりの新しい楽しみ方で、そうゆう要素が日本にもあっていいかなと。何がダメとかは無くなってきてる時代で、その方が今の若い世代も入ってきやすい空間になるのかなと思います。ダンスホールって日本でそのままやったら危なくなっちゃうから(笑)その加工の仕方とかをプロデュース業を通じて伝えていくのが自分の定めというか、そうゆう責任を感じてます。

– BM:今までとはまた違った新しい楽しみ方を、最前線から日本にも届けてくれるのが楽しみです。

GACHA:日本のシーンにも言えてるんだろうなと思うんですけど、固苦しくやっててもダメならちょっと柔らかくしてみて、方向性も変えてみることによって広がってきたりとかするし、改めて一歩外から見てレゲエがどう見られてるかを意識するといいと思う。ダンスホールっていう音楽自体も素晴らしいし、カルチャーもいいものだし、デザインとかも含めて全部いいものだけど、それをデリバリーする人がダサいと思われると全部ダサいものと思われちゃうから気がするから、濃すぎないようにするって言うか。

– BM:なるほど。確かにあまりに濃すぎると伝えるハードルが高くなっちゃいますね。

GACHA:ダンスホールってゲットーで生まれて本当に濃いものだから、やっぱ単純に、若い人がかっこいいと思うものに変換しないと。そのままやるだけじゃもう、カッコいいと思われないのは分かってきてるから。料理でも一緒だと思うんだけど、インドカレーがカレーライスになっていったように独自の変化があった方がいいと思うし、もちろん本来の良さを失わないセンスが大事なんだけど。その中で、J-POPとレゲエを融合させるっていうのも日本だとスタイルとして成功してると思うんですけど、僕が作りたいのは、感覚的に言うとスープカレーですね(笑)インドカレーからカレーライスからの、スープカレー的な。ニュースタンダードを作りたいなと思ってます。

GACHA [MEDZ MUSIC]


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