DJ Khaledの作品から読み取る、変わりつつあるジャマイカへのメッセージ

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音楽という枠を飛び越え、様々なシーンでその名を轟かせている DJ Khaled(DJ キャレド)。

毎回異色かつ豪華なアーティストの組み合わせで楽曲を製作する敏腕プロデューサーとして音楽ファンを魅了する傍ら、Nikeの人気スニーカー〈Air Jordan(エア・ジョーダン)〉や、ラッパーの Dr. Dre(ドクター・ドレ)が手掛けるヘッドフォンで知られる〈Beats(ビーツ)〉とのコラボ商品をリリースするなど、その活躍は多岐にわたる。

レゲエシーンとの深い関係性

今ではヒップホップシーンの重鎮として君臨する彼だが、DJとしてレゲエシーンでも活躍していたというのは有名な話だ。当時のジャマイカを代表する音楽フェス「Fully Loaded」への出演や、ニューヨークのビッグ・サウンド King Addies(キング・アディーズ)との共演など、数々のビッグステージに立ってきた。

Youtubeチャンネル「Boomshots TV」に出演した際には、Bounty Killer(ボンティ・キラー)や Buju Banton(ブジュ・バントン)、Capleton(ケイプルトン)、Beres Hammond(ベレス・ハモンド)など、自らの豪華なダブプレートを惜しげもなく披露している。

 

プロデューサーとして活躍するようになってからも、彼の作品は至るところにレゲエ/ダンスホールへのリスペクトを感じさせる。

2010年には、ブジュ・バントン、ボンティ・キラー、そしてヒップホップの大御所 Busta Rhymes(バスタ・ライムス)の共演曲「Killing Me」をリリース。

ダンスホールアーティスト Mavado(マバド)の楽曲は、2012年の作品からアルバムに毎作収録。


また、2017年にリリースしたヒップホップアーティストの Nas(ナズ)と、Travis Scott(トラヴィス・スコット)による「It’s Secured」では、サンプリングに Sizzla(シズラ)の名曲「Woman I Need You」が全面に使われた。


今年5月にリリースされた最新アルバム「Father Of Ashed」にも、昨年末に約10年という獄中生活を終え釈放されたブジュ・バントンの曲が2曲も収録されている。


制作期間中にはキャレドがジャマイカに渡りブジュ・バントンを訪問し、出所したばかりのブジュとのツーショットを自身のInstagramにポストした時は、多くのレゲエファンを驚かせた。

 

変わりつつあるレゲエ/ダンスホールのカルチャー

レゲエ/ダンスホール目線から、キャレドの最新アルバムで今回注目したいのは、一曲目「Holy Mountain」にブジュ・バントンやシズラと共に参加したアメリカ人女性アーティスト 070 Shake は、同性愛者として知られていることだ。

ジャマイカのカルチャーは同性愛に対して否定的な風潮があり、ブジュらもそのことをテーマにした曲リリースしてきたアーティスト達。しかし以前の記事でも取り上げたように、若いアーティストの声明や時代の移り変わりによって、ジャマイカも少しづつ新たな時代に突入しつつあるように感じる。その変わりつつあるカルチャーに対して、キャレドなりのメッセージを込めたあえての人選だったのかもしれない。

キャレドの作品だけでなく、Major Lazer(メジャー・レイザー)や Silent Addy(サイレント・アディ)といった世界的プロデューサーによるレゲエ/ダンスホールがヒットを生み、ジャマイカ国内でも Chromatic Sound(クロマティック・サウンド)らによる今までになかったアメリカナイズされたアプローチでのプロモーション、ファションやイベントのスタイルが若者の支持を集めている。


また、ヒップホップアーティスト Drake(ドレイク)の発足した音楽レーベル〈OVO Sound〉に所属しているレゲエアーティスト Popcaan(ポップカーン)も、閉鎖的なジャマイカの音楽業界に対してInstagramでメッセージを送っている

世界的に活躍しているアーティスト/プロデューサーの活動によって、様々な面でレゲエ/ダンスホールのカルチャーは少しづつ変わりつつある。何が良くて何がダメという線引きが段々と薄くなってきている世の中で、良い所はそのままに、時代に合わせた新たな楽しみ方が生まれる日もそう遠くはないのかもしれない。