レゲエを日本のスタンダードな音楽に | SHUN『PYROMANIA』リリースインタビュー

“東のギャルチューンマスター”の異名を持つレゲエ/ダンスホールアーティスト SHUN(シュン)

現場で磨いたLIVEパフォーマンスは、リスナーのみならず関係者からも高い評価を獲得。また、レゲエアーティストの登竜門として名高いマイクパフォーマンスコンテスト DEEJAY ULTIMATE BATTLE で3位という功績を残すなど、人気と実力を兼ね備えた彼が、11月22日に待望のセカンドアルバム『PYROMANIA(パイロマニア)』をリリースする。

「レゲエを日本のスタンダードな音楽に」と語る、関東新鋭アーティストの魅力に迫る。

自分のスタイルを確立したい

– BUZZLE NAGAZINE(以下BM):今回のアルバム『PYROMANIA』は、どんなところにこだわって制作されましたか?

SHUN:ファーストアルバムはジャマイカの色と日本の色を足して2で割った感じだったんですけど、今回のセカンドアルバムは視野を広くして、海外の EDM とか ヒップホップ、アフロビーツ とかを意識しましたね。ビートを引っ張ってくるっていうのはよくあると思うんですが、フロウとか流行りのワードとか取り入れて。それはそれで振り幅がすごくなっちゃったんですけど。こいつ結局何がしてんだみたいな(笑)
「普段この人どんな音楽聞いているんだろ?」って思われるようなアルバムにしたかったですね。

BM:トラックとかもまさに幅広い内容ですもんね。

SHUN:そうですね。TOMI-O(プロデューサー)の真骨頂というか、振り幅が広いんですよね。もともとヒップホップの仕事もしてたり、ルーツはパンクロッカーだったり。レコーディングするとき、YouTube のタイプビートとか気に入ったトラックを見つけて歌詞書いて、TOMI-O さんに持っていくとリメイクしてくれるんですよね。

BM:へえー!いろんな音楽を取り入れることができる環境ですね。

SHUN:はい、あと今回のアルバムは自分のスタイルを確立したいと思いましたね。色んな音楽取り入れているんですけど、全曲通して「やっぱり SHUN だな」って思ってくれるアルバムにはなっていると思います。


アルバムを象徴する3曲

BM:今回、アルバム販売の仕掛けが面白いですよね。

SHUN:そうですね。配信用とCD版があって、CD版は現場と通販限定で出すんですけど、全く違う2枚なのでセカンドアルバムが2つ出るみたいになるんですよ(笑) CD版は『PYROMANIA 2.0』っていって、こっちにも新曲が6曲に今まで出したシングルが6曲。そして『PYROMANIA』配信版からのREMIXが2曲入ってます。

BM:ほんとに全く違うんですね。

SHUN:そうですね、多分誰もやってないんじゃないかな(笑)

BM:配信が主流の時代で同じ物を出すんじゃなくて、配信にもCDにも特別感出したらどっちの購買意欲も上がりますね。

SHUN:そうですね、CDも売りたかったらこういうやり方かなと。

BM:今回のアルバムの中で、特にオススメの曲を3曲上げるとしたらどれですか?

SHUN:そうですねー、難しい(笑) 全部オススメではあるんですが、とりあえず先行で出す3曲。それがアルバムでいうと2曲目の『興味ない』ってやつと、11曲目の『ADDICTED』、そして最後の『FLY』。この3曲は僕も TOMI-O さんも気に入ってますね。『興味ない』はヒップホップの色を取り入れていて、『ADDICT』は EDM、最後の『FLY』がロック調なんですけど。この3曲が、色んな音楽を取り入れたっていうアルバムの象徴になるんじゃないかな。


みんなからのメッセージが欲しい

– BM:所属されてるクルーの AK-MOVEMENT について教えてもらえますか?

SHUN:AK-MOVEMENT は土地とかは関係なくいろんな場所にメンバーがいて、主に関東地方を中心に活動しています。メンバーはプロデューサーの TOMI-O さんがいたり、DEEJAYだと JR BONGCLIMBER って言う兄貴達がいますね。

BM:最近では AK-MOVEMENT でも EP をリリースされてましたね。

SHUN:そうですね。タイトルが『S×G×D×』って言って、セックス・ガンジャ・ダンスホール(笑) そういう歌しか歌わねぇぞっていう。ダンスホールのコアの部分をこのEPでは表現しました。

BM:東のギャルチューンマスターという異名の通り、歌詞の中で女の子の事について描かれていることも多いですが、その歌詞は特定の誰かを思い浮かべたりしてますか?

SHUN:そうですねー、思い浮かべます(笑) その… いろんな女性と遊んできたと言いますか。

BM:(笑)

SHUN:いろいろ遊んだので、その中からピックアップしてって感じですね(笑)

BM:さすがです、歌詞通りですね(笑) 他に真面目な部分では、歌詞を書く際こにだわりはありますか?

SHUN:歌詞は作文にならないようには気を付けてます。歌詞はあくまでも詩なので。メロディーがなくても面白かったり、2、3回聞いてやっとわかる仕掛けがあったり。レゲエってストレートなメッセージがいいってよく言うじゃないですか? でも僕はメッセージを伝えられるような人間ではないので、むしろ僕がみんなからのメッセージが欲しい(笑) だから僕は気張らせずにみんなをほぐす側に回りたい。面白い歌詞が好きです。NORIKIYO とか。


嫉妬して見栄張って、じゃあ俺も歌おうかな

BM:レゲエにハマったきっかけのアーティストはいますか?

SHUN:僕は完全に *ENT DEAL LEAGUE(エント・ディール・リーグ)からレゲエにハマりましたね。レゲエ聞き始めたのは中学時代。大阪のアーティストをよく聞いていたんですが、どっぷりレゲエにハメてくれたのがこの3人。東京のこの3人はオシャレで悪くて、でも紳士でカッコよくて。当時のダンスホールシーンを日本人なりに紹介していたのが印象的ですね。彼らの『HONEY』って曲は日本一のギャルチューンです。

*ENT DEAL LEAGUE … 3人のアーティスト MICKY RICH, KEN-U, DOMINO-KAT によるユニットで、多くのヒットソングを生み絶大な人気を博した。2014年に惜しまれつつも解散したが、現在もそれぞれが個々で活躍中。

BM:KEN-Uさんの『DOKO』だったり、たくさんヒットソングがありましたもんね。レゲエの聞き始めは中学時代とのことですが、活動を始めたのはいつだったんですか?

SHUN:活動を始めたのは18歳の終わり頃です。それこそ ENT DEAL LEAGUE が下町でセレクトショップしていて、ファンだったんで通い詰めていたんですよ(笑) ある日 MICKY RICH が店番してて PARTY HARD TUESDAY の主催のシンゴさんが来てて。セレクターかじってる僕の友達が仲良さそうに話しているんですよ。

BM:いいなぁーって?(笑)

SHUN:そうですね(笑) 嫉妬して見栄張って、じゃあ俺も歌おうかなーみたいな(笑) それでその日 PARTY HARD TUESDAY 遊びに行って、プロデューサーの TOMI-O さん紹介してもらってって感じですね。


ラガの修行

BM:3年前にはジャマイカに滞在されていたとのことですが、ジャマイカで起こった忘れられないハプニングはありますか?

SHUN:これ話していいのか分からないですけど(笑) 僕と若いサウンドマンと、GACHA さん、TRIGGER FINGER さんの4人で動いていたんですけど、ラガの修行って言われて夜中の *ポートモアに置き去りにされましたね(笑)

BM:えー!

SHUN:朝までゴーゴークラブに入って待ちましたね(笑)

BM:それはジャマイカっていうより日本人からの洗礼ですね。

SHUN:そうですね、むしろジャマイカ人のほうが優しい(笑)

BM:またジャマイカに行く予定はあるんですか?

SHUN:今はジャマイカよりはヨーロッパとかマイアミが見たいですね。ジャマイカのダンスホールはやっている人がいっぱいいるので、僕は違うところを見てみたいです。

*ポートモア … Vybz Kartel の地元として知られるジャマイカのゲットーエリア。

やめたら首くくるしかない

BM:SHUN さんはアーティストですが、エゴサーチとかかけたりしますか?

SHUN:エゴサーチかけますね。

BM:SNS とかでネガティブなことを書かれたりはしませんか?

SHUN:Twitter とかあんまり見ないんですけど、2ちゃんねるでは叩かれてます(笑)

BM:2ちゃんねる(笑)

SHUN:カッコつけてるや、レゲエじゃないなどいろいろ言われてますね。まあでもそういう事言われるレベルまで来てるんだなと。

BM:達観されてますね。

SHUN:そういう事言うヤツが何をレゲエって言ってるかで違うと思うんですけど、最近のダンスホール聞いてればレゲエって理解してくれる。そういうこと言ってくる人は、いつまで経ってもスーパーキャットの何番煎じみたいなのが好きなんだろうなって。

BM:レゲエも変化してるし、いろいろ枝分かれがありますもんね。

SHUN:そうですね。そもそも好みの問題っていうか、人それぞれのレゲエってあるしなって思うっすね。

BM:そういうのも含め、今までにやめようと思ったことはないんですか?

SHUN:ありますよ、TOMI-O さんとかと喧嘩した時とか(笑)

まあ、ゆってそんなにやめたいって思ったことないか(笑) 仕事がツメツメになった時に、お客さんだったら普通に楽しめてたのになーとかは感じる時はありますね。まあ、でも僕のこと期待してくれる人がいるので。今まで誰にも期待とかされたことなくて、やめたら終わりだなって思います。今までやりたいことも特になくて、やっと見つけたやりたいことなので。やめたら首くくるしかない(笑) 今が一番人生で楽しめてますね。

レゲエを日本のスタンダードの音楽の仲間入りに

BM:最後に、今後の展望はありますか?

SHUN:とりあえず、リリースパーティーが全国であるのでそれを成功させたいですね!そしてレゲエ界隈の外からお客さんを引っ張ってこれるアーティストになりたい。いつまでもレゲエの中だけでお客さん取り合ってても意味がないので。それこそパリピって呼ばれる人とか、ヒップホップの人たちがレゲエのパーティに遊びに来てくれるようなアーティストになりたいですね。

KEN-U とか CHEHON 君とかはちょっと音楽聞いてる人なら知ってたんですよ。レゲエ知らなくても最初はそういった興味持った人が聞きたくなるような人になることから始めて。レゲエを日本のスタンダードな音楽の仲間入りさせたいですね。ロックとかヒップホップは定着していますけど、レゲエって言われても裏打ちくらいしかみんな分かんないから。ダンスホールとかとは全く違うので、しっかり定着させたい。日本でレゲエがスタンダードな音楽になるキッカケになりたいですね。

PYROMANIA / SHUN

〔トラックリスト〕
01. PYROMANIA
02. 興味ない
03. K.E.S. feat. 龍道
04. Highway
05. Big Bad Sound feat. AICHIN
06. 3 the Hardway feat. Climber & Jr.Bong
07. Royal feat. NIKAIDOH & MOYA-C
08. Bad Gyal
09. 君とだけ
10. SWAY
11. ADDICTED
12. Nobody
13. FLY

「東のギャルチューンマスター」の異名の通り、代名詞でもあるギャルチューンはもちろんのこと時にシニカルに、時にはコミカルな視点と POP センスが融合し、SHUN にしか表現できない世界観を濃縮した全13曲! 客演には、自身のクルー「AK-MOVEMENT」から CLIMBER, Jr.BONG。REGGAE サイドからは「STARKLASS」の NIKAIDOH, MOYASHI や AICHIN。 HIP-HOP サイドからは龍道が参加している。 全トラックは「AK-MOVEMENT」のレーベルオーナーであり、数々のヒットチューンを製作してきた、トラックメーカーの TOMI-O 氏が担当。 ダンスホールレゲエ界「関東期待の若手」から「関東を代表するアーティスト」へ移行しつつある SHUN(シュン)の NEXT STAGE へと飛び立つ、 まさに金字塔的な完全必聴盤『PYROMANIA』。 どの音楽ジャンルのファンにも楽しめる内容となっている。絶対に見逃してはいけない!!

SHUN プロフィール

SHUN from. 埼玉 AK-Movement所属 、平成5年11月生まれ。18歳の頃より関東を中心に活動開始。
天性のメロディーセンスにキャッチーなフレーズ、スキルフルかつ言葉遊び的要素を盛り込んだリリックなどを駆使した楽曲は、歳上関係者から若いリスナーまで全国的に高い評価を得る。
活動開始以来、コンスタントに人気曲のリリースを続ける中、2016年夏にフリーダウンロードされた得意のギャルチューン『Good Condition』は、ダンスホールで聴かない日がないほどのスマッシュヒットとなった。
翌年2017年秋には1st FULL ALBUM『ROMANCE DAWN』を発売し、iTunes レゲエアルバムチャートでは初登場2位。総合チャートでも上位に名を連ねる中、CD盤も同様に好セールスを記録し、全国でリリースツアーを行う。
その後も流れに乗るように、2018年夏にリリースされた『SUMMER BOOTY』、同年秋にリリースされ、iTunesレゲエシングルチャートでも1位を獲得した『本気で遊ぶ』などの楽曲もジャンルを問わず全国各地のPartyでヘビープレイされ、大きな話題となる。
現場パフォーマンスの評価も高く、当時のジャパニーズレゲエシーンにおいて全国トップレベルとも言えるコンペキション、”DEEJAY ULTIMATE BATTLE 2017″では数多くの観客と審査員の心を掴み、3位入賞。さらに2019年6月には日本でも屈指の規模と盛り上がりを見せるレゲエフェス”Reggae Super Power キセキ”に出演。
ストリートのダンスホールからヒップホップやオールジャンルのパーティー、そして大型レゲエフェスと、活躍の場を広げ続け、毎週末は全国各地のパーティーを飛び回り、独自のスマートでクイックなジョグリンプレイのようなライブでそのスキルとバイブスを表現する。

– SHUN OFFICIAL SNS
【Instagram】@shunstagram1129
【Twitter】@nb_shun224

SHUN ワンマンライブ

12/1 日曜に渋谷 R-Lounge にて開催される Shun のワンマンライブ。これまで Shun は数々のヒットソングを生み出して、11/22には待望の 2ndアルバム『PYROMANIA』をリリース。いわやこれまでの集大成とも言えるワンマンライブ。と同時に NEXT STAGE への第一歩となる日。Shun の所属している AK-MOVEMENT の兄弟達も援護射撃。見逃すわけにはいかない!!ワンマンライブ前売りチケットは下記の AK-MOVEMENT Official HP から購入可能。

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【Twitter】@ak_movement

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