海外のサウンドクラッシュでチャンピオンに | EMPEROR & SUPERIOR インタビュー

サウンドクラッシュ。サウンドマンが繰り広げる熱い音と音のバトルは、レゲエミュージックには欠かせないカルチャーの一つだ。先日、3/6にニューヨークで開催された「7.62 Final Annihilation」に SURERIOR(スペリアー)が、3/7にアンティグアで開催された「Da War Iz On 5」 には EMPEROR(エンペラー)が参戦。日本のサウンドが2日続けて世界のフィールドに立ち、見事、両サウンドともチャンピオンの栄冠を掴み取った。

今回は各サウンドの MC を務める EMPEROR の TAKU ( @emperor_taku )、SURERIOR の DAICHI ( @superior_daich ) を迎え、海外での闘いに挑み続ける彼らの情熱、苦難、そして勝利の裏側にあったストーリーを聞かせてもらった。

– BUZZLE MAGAZINE(以下BM):改めてお二人とも、海外でのサウンドクラッシュ優勝おめでとうございます!

TAKU:ありがとうございます!
DAICHI:ありがとうございます!

– BM:クラッシュ当日だけじゃなく準備期間から長い道のりだったと思うんですが、勝利を収めて今の率直な思いを聞かせください。

DAICHI:中毒っすね(笑)

– BM:(笑)

DAICHI:楽しいけどホンマ早よ終わらんかなーみたいな(笑) なるっすよね?

TAKU:なるなる(笑)

DAICHI:次すぐやってやって言われても、ちょっとすぐは… って毎回やる度思うっすね、正直(笑) かけ過ぎてるっす、お金だけじゃなくて時間も。

TAKU:そうやな。時間もお金も気持ちも全部すり減らしてストイックに取り組む期間やし、楽しいけど、かなり大変やんな。アイデアもクルーのみんなと出し合いながらあーだこーだやるしな。

– BM:そんな期間を超えて、直前はどんな気持ちでしたか?

TAKU:SUPERIOR のクラッシュが1日前やったからインスタライブで見てて、いけー! っていう気持ちと同時に、勝った時に自分も勝たなあかんっていうプレッシャーも出てきたかな。

DAICHI:僕はニューヨークに着いてからの情報量も多かったですね。行く前から(相手の)音源聞いたりとかはしてたけど、ブロンクスでやる予定やった時のプロモーターとかから色んな情報も来て、そこで準備も進んだ感じするっすね。

TAKU:まあ、終わってホっとしてます(笑)

DAICHI:やっと終わったっすね(笑)

– BM:海外でアウェーな闘いだったと思うんですけど、日本人としてバイアスを受けたりとか、逆にやりやすかった点などありますか?

DAICHI:僕の場合は、対戦相手はめっちゃ客持ってるけど実際オモロイ方に手を挙げる客が多いから、相手を打ちのめすより先に客を掴めって言われて。それやったら勝てるよって。あと、ニューヨークは日本人のプレーヤーもたくさんいたりで今はそこまで無いかなとは思うんですけど、イエローのヤツが黒人訛りのパトワとか喋ったら聞いてくれるって言うか、普通にブラックのヤツが喋るより何割り増しかになるみたいな。

– BM:逆にちょっと面白がってくれるみたいな?

DAICHI:そうっすね。向こうのヤツが普通に言ってもそんなウケへんやろうけど、それはもう使えるとこは使おかなって。

TAKU:DAICHI が言うてた通り、日本で例えたらボビー・オロゴンとかと一緒で、日本人がゴリゴリのパトワ喋ったらギャップがあってオモシロいやろなーって。現地の人は見慣れてないやろし、もっと日本のサウンド見てみたいって思うんやないかな? そういう部分では、不利なとこばっかりじゃなくてアドバンテージもあるんかなーって思う。

– BM:なるほど。それが逆に使えたりするんですね。

TAKU:ただ、向こうの地元の応援団みたいなのは凄かったかな。(地元のサウンドが)出てきた時にブブゼラ吹いたり、全然そっち応援してるやんっていう状態の中クラッシュは始まったな。けど、気持ちを掴んだら全然フラットになるというか、そこまで強いバイアスは感じんかったかな。逆に、この日本人何してくれんねんみたいな期待感があったと思う。

– BM:映像を見た限りかなり多くの人が会場にいたようですが、アンティグア以外の国から出場サウンドのサポーターたちも来たりしてましたか?

TAKU:うーん、アンティグア以外から来てる人もいてたかもやけど、いても少数かなって思う。アンティグアの人口が8万人くらいやけど、その内の3000人くらい来てた印象。結構若い子が多かったな。日本で言ったら毎年行われる K-1 とか紅白歌合戦とか、そんな感じやったかなー。2日前に着いたんやけど、ラジオ局を5個回って、テレビ番組に出演してっていうスケジュールで、なかなか規模の大きいお祭りみたいなクラッシュやったかな。

– BM:アンティグアの一大イベントだったんですね。

TAKU:小さい国やからこそクラッシュ前にはほとんどの人が知ってたし、みんな「ラジオ聞いたで!」とか、「明日頑張れよ!」とか、歩いてたら声かけられた。クラッシュもリアルタイムでテレビとかストリーミングでやってたみたいで、携帯でずっと見てたよーって言うてた人もいたかな。

– BM:闘っている最中にクラウドを掴んだと感じた瞬間とか、印象に残った DUB はありますか?

DAICHI:俺らは Chronixx の Tenement Yard かな。ちょうど時期的にも(アジア人が)コロナとか言われる時で相手も言ってきたから、それがウケたかなって感じはあったっすね。そっから掴んだかなって。

TAKU:俺もコロナってめっちゃ言われたり、スプレーふりかけられたりしたけど、絶対言うてくるやろなって思ってその返しをある程度用意していってたから、その時は「おっしゃ、コントラクションで返せる!」みたいな。コロナウイルスって言われて、「コロナは持ってきてないけど、コロナビール持ってきたからお前にあげるわ。」とか言った時は、みんなクスって笑ったりとか。そういうちょっとした簡単なジョークが何個かあって、少しずつ心を掴んで受け入れてくれた感じかな。

– BM:言われたことを笑いで返して惹きつけるのも大切なんですね。

TAKU:DUB に関しては、Josey Wales の Nah Lef Ya のカスタムとか、Trinidad Killa, Damian の Road To Zion、Alkaline の Conquer The World は ボスしたなって印象やけど、ターニングポイントにもなったんが、Teejay の Uptop Boss かな。海外あるあるかもせえへんけど、結構ゲスいことを言って、例えば、「俺はギャリスやからアンティグアギャルにチ○コ入れたるわ!」とか、そういうのがウケたかな。日本では「え、下ネタ?」とか「ギャルをビゴップするとかクラッシュでありえへんやろ?」みたいな風潮あると思うねんけど、海外はやっぱ女の子も来てるし、意外やけど大事なとこでもあるかな!

DAICHI:そうっすね。めっちゃでかいエレメントの1つやと思うっすね。ダンスホールと一緒。暴力、金、女、ドラッグ、みたいなのあるじゃないですか。クラッシュでも一緒やと思うっすね。

TAKU:今流行りの 5G やな。GYAL, GANGSTA, GANJA, GOLD, GOD(笑)

– BM:そういう部分だったり、日本と海外のクラッシュだとやり方に違いがあったりしますか?

TAKU:うん、一緒なとこもあるけど、大きく違うのは言語かな。MC が曲をかける前に全部口で説明せんでもいいと言うか、曲が答えになってるから無理に喋らず、勢いでいける場合もあるな。あと、国によってカルチャーとか、好きな曲のツボも違うし、その土地や、人を知っておくってのもクラッシュには大事な要素になってくるかな。

DAICHI:言い過ぎひんってとこですかね。曲のことを言い過ぎると勘付かれると言うか、何でその話をしてたかって言うのを曲が歌い出して、サビまでいって、あー! ってなって後から回収出来るとボスする。最初わけ分からんようなことを言って伏線を張ると言うか。

TAKU:まあ漫才と一緒やな。MC がボケを言って、やから、こう!って曲がツッコむみたいな。

DAICHI:だから僕は45(DUBではない市販の曲)の方がオモロイんすけどね。DUB は “殺す” の一辺倒になりすぎて。今回かけてない DUB でも NO KILL にしてくれって言って録ったのも結構ありますね。これは話を落とす上で NO KILL の方がいいとか。

TAKU:それあるあるやなー! 全部 KILL やと MC も同じことしか言えなくなるし、バラエティが少ないよな。レギュラー(の DUB)でもそれがめっちゃ活きる時もあるし、あらゆるシチュエーションを想定して色んなパターンの DUB を持っとかなあかんなって思う。DUB 録る時に出来るだけアーティストに交渉して何種類か録ってもらうってのも自分達はやってるな。

– BM:今回は SUPERIOR と EMPEROR が2日続けて海外での闘いということで、サウンドクラッシュファンからの注目度がより高まっていたのを感じたんですが、勝利を収めて周りの反応はどうでしたか?

DAICHI:俺は今回、日本に完全帰国してから初めての海外でのクラッシュやったんですよね。帰国前もアメリカで2回やってて、1度目はフィラデルフィア、2度目はブロンクスで。1回勝ってるんですけど、その時のクラッシュの時より反響がかなり大きかったなと思いますね。

– BM:完全帰国からの日本での活躍で、当時より SURERIOR に注目が集まっているのが明確になりましたね。

TAKU:ここ最近クラッシュで勝ちがなくて、悩んでました。これは自分が勝手に思ってるだけなんやけど、ファンのみなさんの期待に応えないとっていうプレッシャーもあったかな。「いつ勝ってくれんねん。ええかげん EMPEROR 応援する気なくなるで。」みたいな(笑) 今回やっとトロフィー取れて日本のファンのみなさんにいい報告が出来たかなって思います。

– BM:お二人のように海外で活躍する姿に憧れを持っている次世代のサウンドマンもいるかと思うんですが、アドバイスはありますか?

TAKU:ホンマ海外でクラッシュやりたいって思ってる若い子らは、今から少しずつでも英語勉強しといた方がいいんちゃうかなって思う! 俺も苦労してるんで(笑) 今の時代はソーシャルメディアで色んなクラッシュの音源を聞けるし、情報が多い分、どんどん既存のクラッシュのスタイルからイノベーション出来ると思うから、どんどん世界に飛び出してやってみたらいいんじゃないかなって思います!

– BM:確かに、今は最新の情報が入りやすくなってる分どんどん変わっていきそうですね。

TAKU:何も恐れずに挑戦し続けるってことが大事かな。今の自分らはまだ無理やと思って行動しないより、先にクラッシュやるって決めて、それに向かって限られた時間で本気で取り組んで準備をするってことが自分達を成長させる起爆剤になるし、本気でそれにかけてる人って輝いて見えてカッコいい。チャンスはみんなに回ってくるけど、掴み取らないと意味がないから負けることを恐れずチャレンジしていってほしいし、いい経験になると思います!

– BM:恐れずに挑戦する姿勢、二人からもすごく感じます。

TAKU:俺たちも今回は今までの TUNE FI TUNE と違うところも見せれたらいいなって思ってて、ギャンブルに出たな!(笑) 今までのクラッシュはファンデーションアーティストやデッドアーティストが好まれる傾向があって暗黙のルールみたいなのが存在したけど、それならこれからクラッシュやっていく若手サウンドは死んだアーティストは録れないし、DUB の数も少ないからクラッシュに挑戦したいって思うサウンドが減っていくと思う。

DAICHI:絶対そうっすね。

TAKU:今回、Alkaline の Conquer The World をかけた時、なかなかいいレスポンスが返ってきて今までの TUNE FI TUNE の概念を覆せたんじゃないかなって思う。かけたとき JACKEY と AXE がステージの前に出てきてくれて、一緒に盛り上げてくれたのも良いエンターテイメントになったと思うし、感謝してるね!

– BM:サウンドクラッシュも時代と共に大きく変化していってますね。

TAKU:時代が変わってきたっていうのがあると思うから、みんなそれも考えた上でダブ録ったりとか作戦練ったらいいんじゃないかなと思う。(SUPERIOR も)ニューチューンがボスったんちゃうん?

DAICHI:そうですね。ニューチューンボスったっすね。

DAICHI:海外でやりたい人は、やりましょう! って感じですね(笑) 日本は他の国が道路を超えて向こうにある訳じゃない島国やから、やっぱ考えとか価値観とか、凝り固まるっていうと悪い言い方になってまうけど、アイランドバイブスになってまう。出てみたら色々違ったりするし、それで海外住んだりとか長期で行って、音楽以外でやりたいこと見つかったらそれはそれでありちゃうかなと思う。違うことでも何かが見つかればラッキーやと思うし。経験として出た方がいいような気がするっすね。もっと日本を好きになったりもする。離れてみていかに知らんかってことにも気付くし、俺は出て良かったなって思う。

– BM:クラッシュでチャンピオンになって、日本での出演イベントも楽しみですね。

TAKU:平日で夕方から SUPERIOR とレギュラーもやってるから、それにも来てほしいね。チャンピオンサウンド2つレギュラーでやってるイベントってことで。

DAICHI:平日っていうのがデカイですね。平日やから週末とは違うバイブスというか、かかる曲も面白かったり。

– BM:このインタビューを読んでくれてる方たちにもぜひ足を運んでもらいたいですね。今後の活躍にも期待してます。お二人とも今日はありがとうございました!

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