得体のしれない誰かのヘイトより、家族や仲間と感じられるLOVEに時間を使おう | RUEEDニューアルバム「K」リリースインタビュー

“Love is the Key”。そう訴えかける彼の表情からは、強さと、暖かく優しいバイブスが同時に伝わってきた。長い音楽キャリアの中でブレないメッセージをリスナーに伝えてきた自身の表現活動をキッカケという種渡しだと語ってくれたが、今回リリースされた7作目となるアルバム「K」からは、我々はどんな種を受け取ることができるのだろうか。前作「Q」とは対になる力強いメッセージが込められた作品を通して、より一層深まるRUEEDの世界観に足を踏み入れてみた。

ホントに信じている”こだわり”だけをこだわって作った

BUZZLE MAGAZINE(以下BM):今回のアルバムを聴かせていただいて、全体的にヒップホップやR&Bなど他ジャンルの影響を色濃く受けた、進化したダンスホールミュージックという印象を感じました。そういった面で制作の際に意識していたことはありますか?

RUEEDチャレンジやアプローチも実験的な部分も含めて新しいことにトライした作品だったので、聴いている側の感覚としてジャンルレスにも聞こえたかなぁとは思います。自分としてはダンスホールミュージックがベーシックにあるけど、それに固執せず自分のホントに信じている”こだわり”だけをこだわりながら作ったって感じなので。客演とかも含めあまりレゲエに縛られていないというか。

BM:6月に前作の「Q」をリリースされて、10月には今作の「K」と、短期間でアルバムを2作続けてリリースされた経緯を伺いたいです。

RUEED:ちょうどコロナの時期が重なって。こういう時代で、毎週みんなと顔を合わせていた時間がなくなったことによって逆に時間が生まれてガンガン制作もできて、マインドも見つめ直してバージョンアップするすごい良い時期になりました。結局2枚組で CD も出す予定なんですが、先に聞いてもらおうと思って2作品にして出しました。

BM:デジタル配信のみで CD をリリースしないアーティストさんも増えていますが、今回は CD もリリースされるんですね。

RUEED:うん、1ヶ月後くらいにはなると思うけど。メインがデジタルのリリースになるのは、最近は CD 聞けない子もいるし致し方ないと言うか。ただホントに盤が好きな人もいるし、もっと言えばバイナルが好きな人もいるし。

BM:前作の「Q」に続いて今回もアルファベット1文字の「K」というタイトルですが、2作の繋がりや異なる部分はありますか?

RUEED:今回のアルバム「K」と前回のアルバムの「Q」は、2つが対になっているっていうイメージで制作したんです。ざっくりいうと、柔と剛みたいな。優しさと強さじゃないですけど、そういう感じ。1個の意味としては「Q」はクイーンで、「K」がキング。そういうのもあって「Q」は女の子に向けた曲やメロウな曲も多めだったりして。逆に「K」は自分の強いスタンスやメッセージだったり、自分の決意だったりとか、そういうのが含まれている曲がたくさんあります。まぁどっちも同じ時期に作っていた曲なので、それを振り分けていったっていうところなんですけど。

BM:アルバムタイトルの意味は「Q」はクイーンで、「K」はキングということですか?

RUEED:いや、1つの意味ではっていうことなんだよね。おれは名字が窪塚っていうんだけど、窪塚の「K」でもいいしクオリティの「Q」でもいいし。そこは言い切っちゃわないで、聴く人みんなに余白を持たしたい。それぞれが思う「K」と「Q」で。

自分がやってる音楽はライフを投影してる

BM:今回のアルバム「K」のコンセプトについて、詳しく教えていただけますか?

RUEED:前作のQとは対照的な力強い部分を見せたかったから『SEE ME NOW』から始めたりして、自分の決意とかマインドセットをエクスプレスしている感じ。キングっていうことで力のあるイメージでいたいんだけど、強さの中にも悩みや葛藤があるキングっていうのもあるわけじゃんね。そこに潜んでいるマインドみたいなのも中盤で表現されていて。そこで超マイメンの TAKABO っていうやつが客演で出てもらったり。

BM:そうですね。力強さの中に悩みや葛藤も感じることができました。

RUEED:今回のアルバムに『HARDCORE』っていう曲があるんですけど、その曲はおれが2枚目のアルバム出した時期にレコーディングしていた曲なんですよ。10年前くらい。それがずっと眠っていて、言ってしまえば忘れ去られていたんだけど、それをこの時期に DIAMOND NUTZ (STAR BWOY WORKS) が掘り出してくれて、それをもう1回ミックスし直して。今聴いても当時のことを思い出すし、10年前の時点で何回目のブースなんだろとか一丁前に言ってて(笑) 自分の中でもすごいフラッシュバックもするし、今の自分の背中を押してくれる当時のイケイケのマインドの自分みたいな。

− BM:自身の10年前の曲が背中を押してくれるっていうのは音楽ならでは凄さですね。RUEEDさんが思う HARDCOREハードコアってどんなものですか?

RUEED:そうだね、色んなハードコアがあると思う。それぞれみんなにハードコアがあるっていう感じ。ハードコアっていう字面ほど刺々しいものじゃないかもしれないし、自分にしか分からない核の話なんだよね。だからそれぞれで形も違うと思うし、自分が貫いている部分だったり、譲れない部分。それ取られたら自分の真ん中がなくなって死んだも同然ていうのが、コア。つまりマイハードコアっていう感じだね。

− BM:当時からブレないコアの部分が10年越しにリリースされることになったってことですね。

RUEED:そんな秘話がある曲を、今回のアルバムの中で自分がすごく言いたいことをレペゼンしている『REMEMBER』っていう曲の前にあえて入れた。基本アルバムは録り下ろしでその時の自分を出しているんだけど、あえて『HARDCORE』を入れて『REMEMBER』でまとめというか、強いメッセージソングを最後に持ってきたかな。

BM:そういった強い想いのある『REMEMBER』にはどういったメッセージを込められていますか?

RUEED:誰が言ったかも分からないのに、”やばいよやばいよ” とか ”こわいよこわいよ” とか、いま自分たちが置かれている状況を思い込まされたりとか、ネガティブでみんなが一喜一憂してしまう。そういうことに対して、そうじゃないじゃん、思い出そうよって。自分の人生だから自分でケツ持って選択して生きようぜって。仲間とかにも言えるんだけど、アイツがアイツの悪口言ってたよ、みたいな。気づいたら喧嘩してるとか対立してるとか錯覚させられちゃうことばっかだから。そういう次元で俺たちの仲間は壊されないからってみんなにも思い出してほしい。

BM:昔の曲といえば、中学時代のデモテープが出てきたっていうツイートを拝見したんですが、いま聴いてみてどう感じましたか?

RUEED:当時ラジカセでデモテープとか作ってたんだけど、その時のテープとかラバダブのテープとかが出てきたね。印象としては、それはもう恥ずかしいなみたいな(笑) 言ってる内容の軽さというか、その時は一番のパンチラインだと思っている言葉も今本人が聞くと恥ずかしい。もう止めちゃおうっていう気分になるんだけど、でも当時ロックされていた人たちからすると、名曲です!みたいになったりするわけで。自分が聞く分には恥ずかしいのはすごいありますよね。でも、だいぶ大人になってきてるから冷静に聞ける自分もいるし。

BM:その当時から今も変わらないことってありますか?

RUEED:楽しんでいることかな。それが変わったらもう俺は音楽なんて続けられないと思うし。やっぱり、楽しいとか嬉しいとか、そういうのがすごい原動力になるよ。かと言って、悲しいが原動力にならないのかって言われたらそんなこともなくて、そういった意味では自分がやってる音楽はすごいライフを投影しているね。

答えまで教えてるわけじゃなくて、キッカケっていう種を渡してる

BM:作品を制作する上で、シングルを1曲作るのとアルバムを作るのでは制作方法が違うと思うのですが、アルバム作る際に意識していることはありますか?

RUEED:やっぱり全体通しての世界観やグルーヴ。それって多分数字では表せられない部分だけど、そこはすごく大事にしているかな。1曲1曲だと意識しなくてもいいことだけど、それが8曲とか10曲とかってなったときに、ライブのセットリストみたいなもんで自分の見せたい世界を一番表現できる。それは曲順とかもすごく大事かなって思うし、アルバムの強みって結局そこだから。そいつの20分とか50分をロックして自分の世界を垣間見せる時間。だからそこは大事にしているね。

BM:自分の世界観を表現するために、歌詞を書く時に特に意識していることはありますか?

RUEED:聴いた人が余白を持つことかな。あくまで自分の曲で答えまで教えるわけじゃなくて、キッカケとかヒントを教えてて、種を渡してるんだよね。それを植える人がいるだろうし、ポケットに入れて忘れる人もいる、落っことして捨てちゃう人もいる、そいつ次第で花が開くし。おれが普段何度も「ラブだ!」とか「ラブ・イズ・ザ・キー」って言ってるのも逆プロパガンダみたいな。RUEED がラブって言ってるな、ラブが答えかも知んないぞ、みたいな。そういう考えるキッカケを曲に忍ばせてるかな。

BM:アルバムをリリースされて今後ツアーなどもあるかと思いますが、どんなライブをしたいですか?

RUEED:ちゃんと今言ったようなをキッカケを渡せる、種を渡せるようなライブがしたいな。正直、状況も状況で今すぐにツアーとかは組めないんだけど、組めないなりにこっちも色々と企んでるから、SNS や YouTubeチャンネルを登録して楽しみに待っていてくれていたら飽きさせないボムを投下していきます。

BM:楽しみにしています。では最後に、BUZZLE MAGAZINE の読者の皆さんに一言お願いします。

RUEED:得体のしれない誰かの言ったヘイトより、近くの家族や仲間と一緒に共有できたり感じたりすることができる ”LOVE” に時間を使いましょう。今回のアルバムの「K」や「Q」にはそういう意味の種がいっぱいあるから。それを聞いて自分の土に植えてもらって、そのラブに水をあげて花を咲かしてね。

Mastermind Live 2020 Online

2020年11月8日 (Sun) 20:00〜
RUEED Official YouTube Channel にて独占生放送!!

この自社主催のOnline LiveはQ&Kの曲で構成してます。

RUEED

1988年生まれ横須賀市出身。レゲエディージェイ。(Deejay) 15歳にそのキャリアをスタートさせ、2007年18歳で「Road to 横浜レゲエ祭」にて史上最年少優勝。
そこから活動の範囲は全国に拡大し、翌年Debut Album「NEW FOUNDATION」をリリース。1stを含む5枚のフルアルバムと数々のコンセプトアルバムや楽曲、MIX CDをリリースし目まぐるしい成長を経てシーンの一線を走る。
活動の幅は多岐に渡り、突如世に放たれたRUEED(Vo.)Ai Ishigaki(Gt.)Ju-Ken(Ba.)によるバンドプロジェクト『DRLS』(ex.Derailers)ではRUEEDのまた新たな可能性を感じる事が出来る。Debut EPと1st Albumをリリースし、現在は7人編成となり制作中。
また2017年公開映画「スカブロ」では映画初出演にして初主演を果たす。 昨年2018年には自身の15周年を記念したベストアルバム「MASTERMIND」をリリースし、Home Grownを率いて東京での自身初のワンマンライブも成功させた。
2019年、赤坂BLITZにて開催されたDeejay Clash「COMBAT」でCHEHONとレゲエ史に残る熱い一戦を交わした。そして同年4月、新レーベル「Mastermind」を立ち上げ、Magnum Recordsから独立を果たす。
2020年、彼の唯一無二の世界観から放たれるメッセージやグルーヴはリスナーを魅了し続けて止まないだろう。
本年は既に6枚目となるアルバム「Q」をリリースし、その続編とも言える7枚目のアルバム「K」をリリース。
独自の存在を確固たるものにし、彼の唯一無二の世界観はリスナーを魅了し続けている。 今まさにRUEEDから目が離せない。

【Instagram】@rueedman
【Twitter】@RUEEDMAN

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