【インタビュー】BANJI|自主レーベルParallel Musicから初のEP「alleyoop」をリリース

Interview & Text by Umi Yamaguchi

「女の子が一番濡れる時間は?」
「3時?違う、BANJIや」
ステージから投げかけられた彼の問い掛けとともに始まる曲に、ギャルたちはまんまと黄色い声を出し、ガンフィンガーを掲げてしまう。ギャルチューンにおいて最も重要なのは、喜怒哀楽を感じ取るセンスなのかもしれない。

“ギャルチューンメーカー” として定評があるシンガー BANJI。大阪を拠点に名を馳せている彼が、今年1月に立ち上げた自主レーベルParallel Musicから初のEPalleyoopをリリースした。全4曲からなる本作は、持ち前のダンスホールはもちろん、自らの葛藤を綴ったリリカルな楽曲も収録され、誰しもの夏に寄り添う作品となっている。勢力的に活動し続けるBANJIに今回、リリースに至るまでの秘話や想いを語ってもらった。

− BUZZLE MAGAZINE(以下BM):まず、EPタイトルの『alleyoop』はバスケの技の名前でもあると思うのですが、そのアリウープでしょうか?

BANJI:そうです。でも最初全然タイトルが決まらなくて。まず曲も全然書けなくって。その時に、Netflixでスラムダンクを見始めたんです。それで、安西先生が出てきて。あ、スラムダンク観てました?

− BM:大好きです。名作ですよね。

BANJI:安西先生と三井のシーン分かりますか?「バスケがしたいです」って言うところ。あのシーンを見た瞬間に、一気に曲が書けるようになって。本当、バーンって自分の気持ちとかにも気付けたんです。こう、軽くなったというか。

− BM:あれは名シーンですね。

BANJI:僕、けっこう人の意見とか取り入れられないんですけど、Parallel Musicの仲間と出会ってから初めて取り入れられるようになったんですよ。信頼してるから。バスケのアリウープって技も、信頼関係が大事じゃないですか。だからこれだ、と思って『alleyoop』になりました。

− BM: アリウープの信頼関係を表していたんですね。

BANJI:そう、でもちょっと危なくて。タイトルが安西先生になりかけてた。それはちょっと、あれですよね。

− BM:それもそれで味が出たかもしれないですね(笑)曲が書けなかったっておっしゃっていましたが、収録楽曲『どうしても』では音楽への葛藤を歌っていると思います。それも制作時の心境でしょうか?

BANJI:EPの制作時っていうよりも… あ、僕今年の誕生日で30歳になるんですけど。

− BM:おめでとうございます。

BANJI:あ、ありがとうございます。それで、やっぱり節目になると思うんですよね。このまま音楽続けてていいのかなっていう考えとかもあったんですよ。仲間が一緒に動いてくれて時間割いてくれてるのに、思うような結果出せてないな、悪いな、みたいな。すごく悩んだ時があった。その時に書いた曲です。

− BM:そんな時期を乗り越えたんですね。

BANJI:そうですね。安西先生に食らいすぎて頭の中が安西先生でいっぱいになった。崇めて感謝する、みたいな領域に入ったんで(笑)リスペクトしまくりで危なかったです。

− BM:制作期間はどのくらいかかったのでしょうか?

BANJI:本当は3~4ヵ月くらいかけたかったんですけど、最初の3ヶ月くらい全く書けなくて、期日がもう間に合わないくらいで。まあそこに安西先生が現れて、20日間くらいで一気に仕上げた感じ。考え始めてからは、3~4ヵ月ってことですかね。曲を書き出してからは早かったです。

− BM:書けない時期があったからこそかもしれないですね。今回のEPは4曲ですが、ギャルチューンを間に挟んだ構成になっていますよね。

BANJI:そうですね。1曲目を引きがある曲にしたくて、あとは1曲目を軸に並べた感じで。一番最初に書けたのは『DRESS UP』なんですけど。

− BM:『DRESS UP』はクラブロマンスな雰囲気ですね。ギャルチューンはどうやって考えて書かれているんでしょうか。

BANJI:僕はスタイル的に、歌い手のイベントよりもダンサーとかジョグリン系のダンスホールに呼ばれることが多くて。だからダンサーと接することが多いんですよね。なので基本的にメロディラインは、こうやって作ったらお尻がこう動くんじゃないかなっていう感覚で作ってます。

リリックに関しては自分の経験と、なんかこう、喜んでくれるワードを言いたいんですよ。喜ばせたい。喜んでるところを見て、僕のバイブスも上がるっていうんかな。あんまりうまいこと言えないんですけど。

− BM:だから必然と躍ってしまうようなチューンになるんですね。『DRESS UP』は重低音と軽やかなリズムが印象的ですが。

BANJI:そうですね。僕、2000年代初期のヒップホップとかR&Bが好きなんですけど。あれはNelly feat. Ashanti & Akonの『Body On Me』をリメイクで作ってもらってて、それを今風に打ち込んで出来たんです。

− BM:言わずもがな、名曲ですね。

BANJI:そう、僕も好きなんです。で、今はこんな世の中だから、ドレスアップしてるところをあまり見ることはないじゃないですか。でもだからこそ、家の中でもドレスアップしてみようかなって思うような、そういうきっかけになれば嬉しいなと思って。メイクアップだったり、お洒落してる時の女性ってめちゃくちゃ良いバイブスだと思うんですよね。そういう時の女性は何よりも輝いてる。そう思って書いた曲ですね。

− BM:喜ばせたいっていうのも、女性を輝かせたいという想いと直結してるのかもしれませんね。今って、どうでしょう。イベントも少ないと思うのでファンの方とどれだけ接触があるか分からないのですが、悩みやもどかしさを受け取ることはありますか?

BANJI:もっとライブ配信とかして、とかは言われますね。あと、イベントは前より楽しんでくれてるのかな、とは思いました。貴重になったからかな。

− BM:我慢している分、気持ちが前のめりになるのかもしれないですね。1曲目の記憶再生は、前回のアルバムB the changeに収録された青春コマゲンと、過去に想いを馳せる、という観点では似てるのかなと思ったのですが。

BANJI:『青春コマゲン』の時は、けっこう過去を思い出して頑張ろう、みたいな感じなんですけど、『記憶再生』に関してはそこまで頑張ろうって力強さがなくて。なんか、僕散歩が好きなんですよ。毎日散歩するんですけど。その時にエモーショナルな感情っていうんですかね、そういうのが浮かんだりして。あの時よかったなとか、あの頃はプレッシャーも無かった分、楽しかったなとか。未練はないけど、できればああいう感情に戻りたいなって… あれ、それ未練ありますね(笑)

− BM:どうなんでしょう、それを未練っていうのか。でも誰もが持っている感情だと思います。その散歩の時の心境がそのまま反映されているんでしょうか?

BANJI:そうですね。誰かを熱くしたいっていうのは全くなくて、気持ちに寄り添いたくて作りました。答えが無いような感じですかね。けっこう、「あの時はよかった」っていう人もいると思うんですけど、それだけじゃネガティブなんですよね。例えば10代の学生時代。「はやく大人になりたいなあ」って、大人に憧れてたと思うんですよ。でも今は反対に、昔に焦がれてしまってたり。その人たちに対して「せめて今は、あの頃憧れてた大人に近づきたいね」っていうちょっとしたメッセージはあります。

− BM:曲中で「切なさも恋しくて」というリリックがあると思うのですが、そこにそのメッセージが詰まっていた気がします。

BANJI:切ないこととか悲しいこと、思い出さないほうがいいかもしれないけど、それすらも愛してしまってるっていう。全然ネガティブじゃなく、こう、静かな前向きです。

− BM:静かな前向き。その表現がしっくりきますね。3曲目の『PEACH』は情景が多くリリックに入れ込まれていましたが、制作する中で意識したことはありますか?

BANJI:まあ夏に出すっていうことで、分かりやすく海を書きたいなあって思ってて。あと『PEACH』にはいろんな意味を込めてるんですけど。

− BM:クッパも出てきてましたね。

BANJI:そうですね。マリオとピーチ姫っていう恋心の意味もあります。やっぱり、今回は幅広い層に届くようなEPにしたかったんで、あまりダンスホールのオケ使ってもエロすぎないようにしたんですけど。でもダンスホール要素として、何個かワードで入れたいなと思っていたので、まあピーチは「お尻」って意味も含めて。「甘い誘惑と断ち切るような酸味」ってリリックも、まあ、酸味が何かは想像してもらって(笑)そういうのを入れてる。直接的なワードにならないようにしてます。答えを言うより、リスナーに任せたいなと。

− BM:思わず想像してしまうような曲に仕上がっていました。

BANJI:させてしまうような曲になってますね。僕けっこう思いつきで曲を書くことが多いんですけど、これエロいなあ、エロいなあって。そうやってピーチやら、色々書いていった感じですね。

− BM:BANJIさんが以前、アルバムB the changeをリリースしたのが2019年で、その年はハイエストマウンテンの出場を決めた年でもありましたが。あの頃と比べてご自身に感じる変化はありますか?

BANJI:けっこう勝負の仕方は変えてて、歌詞の書き方とかもすごく変えたんです、ここ最近で。今まではダンスホールレゲエだったとしても、分かりにくいワードを使ってたり、リスナーの層のことを全く考えてなかったんですよ。でも今は分かりやすく伝えられるように、日本語多めで作ったりもしてますね。英語も分かりやすい英語というか、カタカナで聞こえやすい英語を使ったりしてます。もちろん自分がやりたい音楽をやるし、今もやってるんですけど。最近は全部に寄り添うというか、そんな風になりました。

− BM:それはやはりParallel Musicが大きなきっかけでしょうか?

BANJI:Parallel Musicがきっかけというよりも、今、僕のサポートをやってくれてる人たちがいるんですけど、そのサポートがきっかけ。Parallel Musicって演者じゃない人もいて、全部で5人くらいいるんですけど。ミーティングをして、このワードを使った方が伝わるんじゃないか、とかも話し合うんですよね。

− BM:Parallel Musicはどのような集まりなんでしょうか?

BBANJI:メンバーは、トラックメーカーとしてSoul BangazのSo君っていう人。今回のトラックも全部作ってくれてるんです。で、もう一人カナダ部隊にサウンドのShota君。岡山の時からもうずーっと友達ですね。まあ、一応先輩(笑)先輩だけど大好きな仲間。演者はこの3人で、あとは裏動かしてくれてる人で。

− BM:これからまだまだ動きそうですね。

BANJI:そうですね。動きたいなとは思ってます。バンバン動いていきます。今回のEPとかは本当に、この状況だから出来た曲でもあるんで。

− BM:そんな状況下での夏真っ只中にリリースのEPですが、今年はどんな夏を送りたいですか?

BANJI:僕は、海に行きたいです。やっぱりいいバイブスもらえるんで、海とか山は。自然といっぱい接したい。夏しかできないことして。海行ったらまた曲を書きたくなるでしょうしね。

− BM:では、このEPと共に夏を過ごすファンの皆さんに何かメッセージはありますか?

BANJI:みんなが無理せずに、ゆっくり優しく気持ちをアゲていける、そんな夏を過ごせるEPになってると思います。閉じこもらないでほしい、って思うんですよ、僕は。心が病むほうが人間おかしくなっちゃったりするから。女の子だったら、海で水着を着るだけで絶対ワクワクするじゃないですか。見てもらうって、可愛くなる秘訣だったりするから。難しいことも多いけど、お洒落して気合い入れて、バイブスを上げる日、そこに僕のEPがかかってたら嬉しいです。

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