【インタビュー】BANTY FOOT | レゲエへの入り口のような存在になりたい

Interview by Luma | Text by BM Staff

デビューから20周年。数え切れないほどの現場をこなしてきたのは言うまでもなく、サウンドクラッシュへの参戦、野外フェスの主催、ラジオ番組のパーソナリティなど、多彩なフィールドで活躍を続け、名実ともに “名古屋を代表するレゲエサウンド” として知られるBANTY FOOT。フロントマンであるJUNは近年プロデューサーとしての手腕も発揮し、数々のヒットソングを世に送り出してきた。激動のコロナ禍でもその足を止めることはなく、今夏、3年ぶりとなる全面プロデュースのコンピレーションアルバム『#CCC』をリリース。ジャンルや世代も越えた全18組のアーティストをフィーチャリングに迎え、BANTY FOOTにしか表現できないレゲエを届けてくれた。

− BUZZLE MAGAZINE(以下BM):ニューアルバムリリースおめでとうございます!それではまずは、今作『#CCC』のタイトルに込められたテーマを教えてもらえますか?

JUN:“Change・Challenge・Chance” がテーマで、頭文字を3つ並べて#CCC(トリプル シー) にしました。本当は2020年にアルバムをリリースする予定でダンスホールが中心だったんだけど、コロナ渦で人生がまるっきり変わってしまった人がたくさんいると思ったから、テーマを練り直しました。その人たちに勇気を与えることができたり、BANTY FOOTのプレイで背中を押すことができたらいいなっていう想いを込めています。

− BM:BANTY FOOTは、アーティストを客演に迎えてレゲエサウンドの名義でフルアルバムをリリースしている数少ない存在だと思うのですが、そういった作品をプロデュースし続けているこだわりなどはありますか?

JUN:ありますね。サウンドが制作するダブプレートって、もともと出来ているものにアイデアを追加していくんですけど、楽曲制作ではそうじゃなくて。そのゼロからイチを創り出す作業がしたいなって思ったんですよね。サウンドやセレクターって常にお客さんが求めているものを頭に入れていないといけないから、そういった意味で一番現場に近い耳を持っていると思ってて。それを客観的にアーティストに伝えて落とし込むことは、サウンドとしてやらないといけないことだと思った時期があるんですよ。より現場に近い耳を持っているサウンドのアイデアとアーティストを融合すればビッグチューンが生まれると思うし、だからこそ作り続けていますね。

BM:アーティストとサウンドの相乗効果で良い楽曲が生まれるのは素晴らしいことですね。JUNさんが楽曲をプロデュースをする上で大切にしていることってどんなことがありますか?

JUN:やっぱり僕らはアーティストがいてはじめて楽曲制作ができるから、アーティストが何を求めていて、どこを目指しているかを常に知っていないといけない思うんですよね。もちろん自分の意向もあるけど、自分と制作したことによってアーティストの目指す未来が広がるのかっていうことを意識して作っています。お互いを尊重して楽しく音楽しないとプロデュースはできないなって思いますね。

ふざけんじゃねえ

BM:収録アーティストのSHUNさん、裂固さんとのコンビネーションソング『Sky’s The Limit』はJUNさんから「向かい風」というテーマをもらって制作したとツイートされてました。プロデュース楽曲はJUNさんからアーティストさんにテーマを提供して制作してもらうことが多いんですか?

JUN:そうですね。僕はアーティストに丸投げはしたくなくて、テーマを決めて制作してもらっています。ゼロからBANTY FOOTで創り出してほしいっていうアーティストや、ここだけは譲れないっていうアーティストとか、色んなタイプがいて、アーティストによって方法は変えてるんですけど。今回のSHUNに関してだと、ネガティブな「向かい風」っていうよりも、それをポジティブに捉えた楽曲にしてほしいって伝えましたね。今の状況を「向かい風」って感じてる人が多いと思うんだけど、その「向かい風」も考え方によっては追い風になるわけだから。

− BM:プロデュースをする上でアーティストさんとの意見のすり合わせに苦労することもあるかと思うんですが、JUNさんのわがままというか、プロデューサーとして特に我を出したと感じる楽曲はありますか?

JUN:できるだけアーティストの意見は尊重して制作するんだけど、その中でもわがまま言ったなって思うのはTHUNDERの『All The Best For Me』かな。彼もダンスホールだったりレゲエに対して持っている自分の価値観が強くて。僕とは違う価値観っていうのが今回一緒に制作できてよかった点の1つなんだけど、びっくりしたのがサビとバースを14種類くらい作って持ってきてくれたんですよね。

BM:14種類ってすごいでですね。

JUN:そう。それは僕のプロデュース人生でも初めてのことで。その数ある中から僕がサビを選ぶことになるんだけど、その時にTHUNDERに「僕が絶対使わないなっていうのをJUNくんが選んでくれたけど、僕はJUNくんがそれを選んでくれるって思ってました。」って言葉を言われて。彼も僕がちゃんと説明したことによって「JUN君が言うなら間違いない」って思ってくれたから、お互いが尊重しあって良い楽曲ができたなと思いますね。

− BM:違う価値観を持っていても、お互いを尊重しあえれば良い楽曲が生まれるんですね。

JUN:あ、でもやっぱり一番わがまま言ったのはEXPRESSとの楽曲かもしれない。っていうのも、6回くらいオファー断られているんですよ。その理由が、BANTY FOOTとEXPRESSの楽曲に『交差点』っていう曲があって、そのビッグチューンがプレッシャーになっていたみたいで。でも最後に連絡した時に「他人の評価を気にせず楽しく音楽をしたいんだよね」っていうことを伝えたんです。EXPRESSと僕は同級生なんですけど、昔話をしていたら楽曲のテーマもできて。

BM:今回収録されたEXPRESSさんとの楽曲は『落ちこぼれのスター』ですよね。サビの「ふざけんじゃねえ」が印象的ですが、どのようなテーマで楽曲制作を進められましたか?

JUN:僕らの先輩って偉大な人が多くて、MIGHTY CROWNやRYO The SKYWALKERとか、レゲエシーンを創ってきた方たちで。その背中を見て育って、どっかのタイミングで自分たちの世代に変わるのかなって思ってたけど、その下の世代がどーんと売れて、なんか谷間の世代みたいだなっていう話になったんですよ。あまり認めたくはないんですけど、実際そうで。でも俺たちまだまだ音楽やりたいし、こんなところでやめてられないなって。そんな会話しているときに心の中で出た言葉が「ふざけんじゃねえ」。あの曲は世間に対してじゃなくて、自分たちに対して、ふざけんじゃねえ、頑張れよって言い聞かせた曲です。

やっぱり “どレゲエ”

− BM:RUDEBOWY FACEさんと¥ELLOW BUCKSさんのジャンルを超えたコンビネーションソングLight It UpはYouTubeでもすでに200万再生超えと大きな反響を呼んでいますが、生まれたキッカケや制作秘話などあれば教えてもらいたです。

JUN:ずっとRUDEBOWY FACEとは曲をやりたいと思っていたんですけど、やるなら絶対にビッグチューンにしないと後悔すると思って、あえて今まで声はかけてなかったんですよ。でも、コロナでテーマを見直すってなった時にアイデアを思いついてしまって。他の楽曲とは違うような曲にしたくてコラボレーションを考えていたんですけど、BANTY FOOTの色も出せてRUDEBWOY FACEの色も出せるって考えたら「あ、¥ELLOW BUCKSだ」って。もともと¥ELLOW BUCKSとは駆け出しのころから面識があって、今売れているからとかじゃなくていつかは一緒にやりたいなって思ってて。それに彼がRUDEBWOY FACEをリスペクトしてるのも知ってたから、このタイミングだなって思って、ホント直感と好奇心だけで制作しました。

BM:レゲエのビートが印象的で、2人の息もピッタリの楽曲だと感じました。

JUN:この2人と作るならどんなトラックがいいか考えた時に、ダンスホールではないなと思ったんです。でもヒップホップのトラックでもないし、やっぱり “どレゲエ” だなと思って。¥ELLOW BUCKSもレゲエのビートでは作ったことなかったし、RUDEBWOY FACEのラガな部分も¥ELLOW BUCKSとやることによってよりフォーカスされるんじゃないかと思って。トラックが出来上がったらまずRUDEBWOY FACEに連絡して、1回トラック聴かせてほしいって言われたんだけど、 送ったら5分後に「これならすぐできるかもしれない」って返答もらって。その後に、実はこれ1人じゃなくて¥ELLOW BUCKSとコンビネーションで考えているんだよねって伝えたら「マジ?それ面白そうだね」ってなって。速攻で¥ELLOW BUCKSに連絡したら二つ返事でOKもらって、そっから3人でスタジオ入って12時間かけて作った感じです。

− BM:着想から完成まではかなりスムーズに進んだんですね。曲のテーマはどういったものになっていますか?

JUN:曲のタイトルが『Light It Up』で、2人が音楽シーンに光を差し込むのがテーマです。この曲を聴いたら聴いてる人の未来も明るくなったり、未来をライターで照らそうぜっていう意味合いが含まれています。

− BM:『Light It Up』はMVもリリースされていますが、収録曲の中で他にもMVのリリース予定はありますか?

JUN:7月、8月、9月で1本ずつ出す予定です。まだ言えないんですが楽しみにしていてください。

自分が思うレゲエ

− BM:BANTY FOOTの作品はレゲエ層だけでなく幅広い層にアプローチできる内容になっていると感じますが、制作する上で意識していることはありますか?

JUN:幅広い層に届けようと思って制作してるつもりはなくて、自分が思うレゲエをどう届けようかなって考えて制作してます。僕もともとMEGARYUのバックDJをやっていたことがあって、プロデュースを担当していた加藤さんっていう方からご指導を受けていて。もともとレゲエマガジンの編集長をやられていたり、初期のジャパンスプラッシュを支えていたり、ど真ん中のレゲエの人なんですけど、そういった方とレゲエを日本中に届けるにはどうしたらいのかをずっと話していたり。ラジオ局でレゲエの番組やらさせていただく上ではいろんなジャンルのアーティストと接する機会もあって、これをレゲエに活かすにはどうしたらいいのか?って考えたり。レゲエへの入り口のような存在になりたいので、自分が思うレゲエを聴いてくれた人が幅広い層にアプローチできそうって感じてくれることは、僕にとっては褒め言葉ですね。

BM:アルバムをリリースした直後ですが、次の作品のリリース予定はありますか?

JUN:まだ言えないんですけど、あるアーティストとのコラボEPを考えています。他にも、ある媒体とコラボして若いアーティストをプロデュースして、ワンウェイ(リディム)で表現できたらいいなと思っています。とにかく現場のプレイももちろん、楽曲プロデュースにも力をいれて動いていきます。

− BM:今後の動きにも引き続き注目させていただきます!それでは最後に、BUZZLE MAGAZINEを見てくれている読者の皆さんに一言いただけますか?

JUN:レゲエとかダンスホールに特化したウェブサイトってなかなかできないと思うんですよね。それが今こうやってあるっていうことは、レゲエ好きダンスホール好きだけじゃなくて、こっから好きになっていく人たちにとって良いコンテンツだと思います。もちろんBANTY FOOTとしても広めていきたいと思いますし、BUZZLE MAGAZINEを見ている人が現場に来てもっともっとレゲエを好きになってくれるようなサウンドになりたいと思っていますので、皆さんぜひ名古屋のBANTY FOOTに注目していてください!

#CCC

新曲13曲を詰め込んだこのアルバムは、オリジナルコンピレーションとしては3年ぶりのリリース。 ラップスタア誕生シーズン 3 優勝者¥ellow Bucks、フリースタイルダンジョン2代目モンスター裂固、今注目を集めているR&BシンガーソングライターKAHOH 、日本語レゲエ史に残る名曲「もぐらの唄」をヒットさせたベテランEXPRESS、実力派レゲエアーティスト導楽、 RUDEBWOY FACE、HISATOMI、RAY など、全 18 組のアーティストをフィーチャリングしている。

【収録楽曲】
1. Daybreak feat. NEO HERO, RAY & 裂固
2. Blue Eyes feat. VILLSHANA & KAHOH
3. No No No Music No Life feat. OGU & KonG
4. All The Best For Me feat. THUNDER
5. Sky’s The Limit feat. SHUN & 裂固
6. Light It Up feat. RUDEBWOY FACE & ¥ellow Bucks
7. 右向け右 feat. NEO HERO
8. Young Lion feat. 39-MAN & PINO
9. マイブロ feat. ONEDER
10. 片想いの Dreamer feat. HISATOMI
11. More Alive feat. 導楽
12. メグリアイ feat. LUI BRAND
13. 落ちこぼれのスター feat. EXPRESS

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#CCC – BANTY FOOT

BANTY FOOT

東海地区最重要レゲエサウンド「BANTY FOOT」。

2001 年 地元名古屋にて活動開始。後に盟友 DJ PRIME が加入し、今の BANTY FOOT となる。その後、星の数ほどの現場をこなし、レゲエシーンのキャリアを着実にステップアップ。
2008 年 東海地区 No.1 RADIO STATION 「ZIP-FM」で、レゲエ専門番組「REGGAE REVOLUTION」にてミュージックナビゲーターデビュー。
2014 年 ZIP-FM の音楽レーベル・マネジメント会社 ZIP NEXT より、待望の 1st フルアルバム「VANDARIDDIM」をリリース。アルバムリード曲「Run this way feat. MEGAHORN」がサッカー J リーグ 名古屋グランパスのオフィシャルサポートソングに選ばれるなど、各方面から高評価を受ける。
2015 年 ZIP-FM にて、ラジオ番組、野外フェス、レゲエミュージック制作を一体化した大型レゲエプロジェクト「DIRECT」をスタート、毎年 5 月に名古屋市中心部・栄の久屋広場で開催するレゲエフェス「DIRECT」は、名古屋の夏のはじまりを告げる人気フェスに成長している。

レゲエミュージック制作では、2014 年の「VANDARIDDIM」から、2019 年「DIRECT –ALL JAPANESE DUBPLATE MIX -」まで、オリジナルアルバム&MIXCD 計 7 枚をリリース。
2018 年リリースのアルバム「every day is a NEW DAY」からは、YouTube 再生回数 600 万回超(2021 年 3 月現在) の人気曲「交差点 featuring EXPRESS」を生み出した。この曲は、複数の野球選手の入場曲に選ばれるなど、BANTYFOOT を代表するナンバーになっている。
2019 年リリースのアルバム「DIRECT – ALL JAPANESE DUBPLATE MIX -」では、沖縄出身の新世代ラッパー「Rude-α」と日本が世界に誇る次世代ディーヴァ「遥海」の二人をフィーチャリングした楽曲「radio」を発表。
BANTY FOOT は、ジャンルと世代を超えて、新しい音楽をプロデュースし続けている。

2021年は、BANTY FOOT デビュー20 周年の節目の年。JUN(MC)、DJ PRIME(セレクター)、新たに参加したBIRD MAN(セレクター)の 3 人体制で、レゲエファンはもちろん、あらゆるミュージックフリークにむけて、そして人生をもう一歩前に進めたい全ての人々にむけて、BANTY FOOT MUSIC をこれからも贈り続けるために、BANTY FOOT は、日々奮闘中。これからも、BANTY FOOT からは目が離せない!

【Instagram】
JUN : @jun_bantyfoot
DJ PRIME : @djprime_bantyfoot
BIRD MAN : @birdman_bantyfoot
BANTY FOOT OFFICIAL : @bantyfoot_official

【Twitter】
JUN : @BANTYFOOT
DJ PRIME : @BANTYFOOT_prime
BIRD MAN : @bird_bantyfoot
BANTY FOOT OFFICIAL : @BANTYFOOT_SOUND

【Website】
BANTY FOOT OFFICIAL

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