【インタビュー】THUNDER | Grass Roots

Interview by AKI | Text by BM Staff

尼崎出身、ストレートでハードコアなメッセージを歌い続けるアーティストTHUNDERが、New EP『Grass Roots』をリリースした。数々のヒットソングを世に送り出してきたプロデューサーDIGITAL NINJAとタッグを組み、フィーチャリングには実力派アーティストRUDEBOWY FACE、PERSIAが参加。今年で活動10周年、積み上げてきたキャリアが全曲ダンスホールで表現された。今や日本のレゲエシーンにとって欠かせない存在の1人となった彼に、最新作に込めた想いやこれまでに乗り越えてきた葛藤までを語ってもらった。

− BUZZLE MAGAZINE(以下BM):今年で活動10周年ということで、そういった節目にはフルアルバムをリリースする方も多いと思うんですが、今回EP (ミニアルバム) という形で作品をリリースした理由はありますか?

THUNDER最近774君 (Digital Ninja) と曲を作ってて、いい感じに進んでたんですよ。3月から6月ぐらいまで曲作りしとって、たまたまダンスホールばっかりできたんですよね。ミディアムは無いけど、これはこれでまとまってるよなっていう話になってきて。最初は3曲のつもりが、やってるうちに5曲になって。今年の年末にフルアルバムを出そうと思ってるんですけど、できたばっかりの曲をまずは聴いてもらった方がいいっていうのもあって、先にEPを出しちゃおうか、みたいな感じになって出しました。

− BM:今回はDigital Ninjaとのダブルネーム名義での作品ということで、これまでにもお2人は何曲もタッグを組んで曲を作られていますが、774さんとの出会いのきっかけを教えてもらえますか?

THUNDER774君との出会いはですね、20歳ぐらいやった時なんですけど。僕がジャマイカに2回目行って帰ってきて、とある神戸のサウンドマンがDUB録りしたいっていうことで、どこのスタジオがいいかな? ってなった時に、僕が「Digital Ninjaのスタジオがいい」って言って、それで連れて行ってもらったんです。その当時すでに兵庫県で774君のミックスCDがけっこう流行ってて、俺もそれ聴いて「俺、兵庫県なのに入ってないやん」って、悔しいなと思いながらもカッコいいと思ってて。それでDigital NinjaのスタジオでDUBを2~3曲録ってるうちに、774君が「ヤバイな、イケてんな」「探してるやつが出てきたわ」みたいな感じになって。その日のうちにオケもいっぱいもらいまして、そこから2~3ヶ月で3曲ぐらい録音して。すげぇトントン拍子で曲が生まれていったんですよね。そんな感じの出会いです。

− BM:なるほど。それじゃあかなり長いお付き合いになるんですね。

THUNDERそれからもう12年ぐらい経つんですかね。とにかく曲作るんですよね。週1ぐらいでスタジオには行くんですけど、行く度に新しいオケが2~3曲あるから、僕ら作る方が追いつかないって感じで。それぐらい音楽にずっと没頭してるっていうところが一番尊敬できますし、口だけじゃないっていうか、口より行動がすごいなって思います。

昔やったらできひんかったことが、今やったらできるように

− BM:今回のEPにソロ曲として入っている『初心Deh Yah物語の3曲がテーマ性が強い曲だなと聴いた時に思って

THUNDER僕個人の歌ですもんね。1人の曲。

− BM:そうですね。1人の曲、そういう言い方ができますねその3曲を1曲ずつ深掘りというか、気になったことを聞いていきたいなと思うんですけど。『初心はTHUNDERさんの今現在の心情を歌ってる歌だなと思って

THUNDERうんうん、ですね。

− BM:一番気になったのは「Mi just realize money gimme power (お金が俺に力をくれているって今気いた)」っていう歌詞なんですけど今まではそんなに “お金” っていうところにフォーカスして音楽をやってなかったっていうことなのかなっていうのが「just realize (今気づいた)」っていうところからも感じてて

THUNDERそうですね。

− BM:10年やってきて、当時と今は違うっていう感じなんですか?

TTHUNDERそうですね。僕らずっとインディーズでやっていて、最初はもうお金が無くて、音楽になかなかお金を掛けてこれなかったし、そういうところで損してたことがいっぱいあるなっていうのは、今お金が回るようになってきて気づいてるんですよね。音楽で回りだしたお金が、今の僕に力をくれてるってのはもう間違いなくて。昔やったらできひんかったことが、今やったらできるようになってきてるんですよね。だからそういう意味を込めて「Money gimme power」っていうリリックにしたんです。あんまり「お金、お金」ってリリックで言うの嫌やったんですけど、リアルなところやなとも思っていて。「お金じゃない」って言ってきた俺やけど、みんなが聴いてくれるおかげでお金が回りまわって、結局僕に力をくれて、精力的に活動できる力に変わってるなって今実感してるなっていうところはあります。

− BM:現実的に、無いとできないことも多いですよね。

THUNDER例えばイベント打つにもステージとかにお金掛けたりとか、フライヤーにお金掛けたり、色んなところにお金掛けるからこそ人が集まったりとか、そういうのがあるんで。やっぱり先行投資みたいなことは大事だと思いますね。ケチらずにやれるだけ、そこはお金は後でついてくると思うので、使うべきところにドーンと使っていった方がいいんじゃないかなって、普通に人生として思いますね。

継続は力なり

− BM:今度は『Deh Yah』について聞こうかなと。この曲はTHUNDERさんたちが企画してる「尼爆」ことを歌ってらっしゃるんですか?

THUNDERはい。尼崎でやってる野外イベントのことを想像して。

− BM:その野外イベントがテーマなんですね

THUNDERそうです。それだけのために作ったような1曲なんです。全国で野外イベントとか、いろんなイベントがあると思うんですけど、そういうのをやってる側が思うような気持ちを歌にしてみたっていう感じですね。

− BM:クラブイベントから始まって、今は野外イベントまで規模が大きくなっていて、THUNDERさんが思う、ここまで大きくなった要因とかってありますか?

THUNDER簡単に言えば「継続は力なり」というか。僕はけっこうその言葉は信じてまして。結局ずっとやっとったら、昔来てくれてた人も懐かしいなと思って来てくれたりするし。いきなり始めて今っていうのはありえないんで。だからずっとやってるっていうのが一番です。最初はただイベントをキープするつもりぐらいの感じでやってたんですけど、10周年になった時に、フェスを打ってみようってなったんですよね。大きいことやってみようってなったのはそれがきっかけですね。地元でイベントがあるっていうのが1番いいなと思ってて、ジャマイカのイベントってそういう感覚じゃないですか。近くで音鳴ってるから、そこ行ってみようぐらいの。そういう感覚で、そういう存在でおりたいっていうのはあります。

ジャマイカで「この音楽はえぐいな」と

− BM:『物語については、THUNDERさんの現在から遡って最初から今までっていう感じですか?

THUNDERこの曲 “物語” って書いてるんですけど、ほんまは自分の中では5分の1ぐらいしか書ききれなくて。だから最初から今までじゃなくて、時系列でいうと、レゲエに出会った時から2枚目のアルバム出してぐらいのところで終わってます。続きを書こうと思ったらまだいっぱい書けるんですけど。

− BM:この曲で僕が気になったのは2番の歌詞で「徐々に熱は冷めていった 最後の望みをかけて 金貯めて行った初ジャマイカ」っていうリリックがあって、THUNDERさんの歌は基本前向きというか、こういう過去のネガティブなことを語るような歌ってあまりなかったなと思って。

THUNDER確かに今まで言ってこなかったですね。いやー、もうね、ほんま自分のマイナスっていうか、ネガティブ要素を話せばいっぱいあるんですよ。自分ではネガティブな歌なんて要らんなと今までは思ってて。自分はゲトー育ちやし、悲しい話をすればいっぱいあるんですよ。でもそれを売りにしたくないっていうか、そこから立ち上がるっていうことを売りにしたい。ちょっと前に出した『HIGH LIFE』ってシングルは「俺はあの頃よりは成功者だぜ」みたいな感じの歌なんですけど、それだけ見ると「こいつほんまよう上手いことやってきたんやろうな」みたいなイメージを持たれるかなと思ったんですよね。ネガティブなことなんて山ほどあるし、それをちょっと軽く入れてみようっていう感覚でしたね。

− BM:「熱が冷めていった」という点については?

THUNDER良く言えば贅沢だったというか、当時はまだ18歳で、とにかくレゲエが好きでいっぱい曲を聴き続けたんですよ。聴きまくって、いっぱい食らって、日本でもいっぱいいろんなショーケース見て。すると徐々に刺激がもらえなくなっていったんですよね。すごいものを見過ぎて。

− BM:慣れちゃうというか、感覚が

THUNDERはい。いっぱい見過ぎて、これ以上の衝撃は無いな、みたいな。人に衝撃をもらって生きてたんですよ、ずっと。それでバイブスをもらってたというか。でも日本のレゲエにも限界があるというか、全部チェックすると、もう食らえなくなってしまったんですよ。その頃は「あの人の新しいアルバム聴いたけど、微妙やったわ」とか、そういう文句ばっかり言うとったけど(笑) その時期に、正直レゲエ辞めようかなってほんまに思ってたんですよ。やっぱり目標とか要るじゃないですか、やっていく上で。でも目標と思えるものがなくなったんですよね、一瞬。

− BM:なるほど、先が見えなくなったというか。

THUNDERもちろんRUDEBWOY FACEとか、FIRE BALLとか、カッコいいなと思って憧れてたんですけど、自分にはそこまで行けそうなスキルとか知識もないというか、そういう頭の良さも持ってないなと思ってた時期で。僕、中卒なんですけど、中学卒業して18歳まで音楽1本でやってたんで、3〜4年ぐらい費やしてきて、このまま終わるのはもったいないなって思ったんですよね。それで終わるぐらいやったら、1回ジャマイカ行こう、みたいな。1回ジャマイカ行って、それでもレゲエが微妙だと思ったら悔い無く辞めれるし、逆に食らえたらそのまま続けたらいいしと思って、お金貯めて1人でジャマイカ行ったんですよね。YELLOW CHOICEのトシヤ君がジャマイカにいたんで、向こうでお世話になったんですけど。

ジャマイカ初日に、歌詞にも入ってる「Benbe」っていうイベントがあって、そこでBugleの『What I’m gonna do』っていう曲が鬼ボスしてたんですよ。ジャマイカ人が超感動しながら歌ってるっていうか。何なんこの曲?ってなって歌詞とか調べたらめっちゃ悲しい曲じゃないですか。それが鬼ボスしてるジャマイカに超食らいました。ほんまにジャマイカの人達の生活のリアルのことを歌って、みんなの生活を支えてるんやなと。その時に「この音楽はえぐいな」と思って。日本で感じたことのない、曲が人を支えてる感というか、それをまじまじと見て、僕もそういう音楽やっていきたいなって強く思った日やったんですよね。

− BM:ジャマイカへ行ったことが大きな転機になったんですね。

THUNDERそれ以来レゲエ辞める辞めへんか、もちろん迷ったことあるんですけど、とりあえずそれからドーンって突っ走ることはできましたね、とにかく「俺もあんなことをやるんや」っていう風に気持ちがすごい切り替わって。いろいろあるんすけどね、その後も。日本に帰ってからもまだ苦労したりもしたんすけど、とりあえずあの時のジャマイカであれを見たから、俺はレゲエを続けようっていう、辞めずにこのまま行けるとこまで目指してみようって強く思えたのは、そのイベントのおかげですね。

− BM:それでは最後に、今後の活動で公表できることがあれば教えていただきたいなと思うんですけど、いいですか?

THUNDER年内にはフルアルバムを絶対出したいなっていう目標があって、今制作しています。せっかく10周年なんで。あと、12月31日に神戸ハーバースタジオでワンマンライブをやります。それぞれ楽しみにしててほしいです。

GRASS ROOTS

LIVE INFO

RELEASE INFO

2021年5作目のシングルとなる本作は、コロナ禍に揺れる世の中の状況へ一石を投じるRebel Music。国民が感じている不満や社会への想いを心地いいReggaeのRiddimに乗せて歌ったメッセージソング。制作には地元の盟友 Jackey
(EMPEROR) も参加。

各種配信サービスリンク ▼
Free up – Thunder

THUNDER

【Instagram】@thunder_reggae
【Twitter】@ThunderInfo

DIGITAL NINJA

【Instagram】@digitalninja774
【Twitter】@DIGITALNINJA774

オフィシャルTwitterで最新情報をチェック!