レゲエ界のタブーも変革の時か?「LGBTQ差別」に女性アーティストたちが声を上げる

レゲエ、ダンスホールという音楽が、セクシュアルマイノリティである「LGBTQ(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)」について強く批判的な姿勢を続けてきたのは周知の事実だ。実際にその歴史の中で、アーティストたちはゲイコミュニティを非難する曲を数多く発表してきた。しかし、2022年を迎えようとしている現代において明らかに時代錯誤とも言えるその風潮が残るシーンも、少しづつではあるが間違いなく変革の時が訪れているようだ。

先週、ダンスホールシーンのクイーンとして君臨するアーティストSpice(スパイス)が、2022年にカナダで開催予定の「LGBTQフェスティバル」への参加を発表。「私は差別をしない!人種や性的嗜好に関係なく、すべてのファンを愛してる」と発言し大きな波紋を呼んだ。

また、新世代のレゲエシーンをリードするフィメールアーティストであるLila Iké(リラ・アイケ)は、自身がレズビアンであることをカミングアウト。「私の名前はリラ・アイケ。女性が好きで、そしてレゲエミュージックを作り続けている」「女性を愛する女性が歌っても、レゲエミュージックは決して死なない」と、レゲエとセクシュアルマイノリティ差別は結びつくものではないと力強いメッセージを発信した。

その発言に続き、インターナショナルに活躍するダンスホールアーティストJada Kingdom(ジェダ・キングダム)も、自身がレズビアンであることをカミングアウト。数ヶ月前にその事実を母親に伝えたところ、母親は以前から知っていて理解していてくれていたと喜びを露わにしたツイートを投稿。「私たちはみんないつか死ぬんだから、自分のために自分の人生を生きよう」「今は前とは違う気分で歩めてる、新しい道を作ろう」と、自身と同じ境遇にいる人たちにエールを送った。

こういったムーブメントは、レゲエ、ダンスホールの歴史において過去に例がなかったことだ。SNSには彼女たちの勇気を持った行動にサポートのコメントが溢れる一方、多くのヘイトコメントが目に留まることも事実で、シーンの中からも批判的な姿勢を露わにするアーティストも現れている。

『Nah Apologize』をはじめ、ゲイコミュニティを過激に非難した楽曲を歌うアーティスとして知られるSizzla(シズラ)は「レゲエやダンスホールを邪悪で汚いものとミックスするな。この音楽はホモセクシャルやレズビアンを非難するものだ」と痛烈に批判し、Spiceが出演予定のLGBTQフェスティバルのキャンセルを求めた。

また、著名なセレクターとして知られるFoota Hype(フッタ・ハイプ)は「All Females In Jamaica Music On The Devil Side(ジャマイカの音楽業界にいる女たちはみんな悪魔側にいる)」といったYouTubeの投稿をはじめ、SNSでも彼女たちを批判し続けている。

今のところ、多くのアーティストたちは今回のムーブメントに対し沈黙を保っている。ジャマイカという島国で長く続いてきたタブーに触れれば、どちらの立場であってもバックラッシュを受けるのは明らかだろう。

そんな中、シーンにつきまとってきた汚名を返上するため、女性アーティストたちが批判を恐れず声を上げた意味は大きく、特にレゲエファンでありセクシュアルマイノリティであるジレンマを抱えた人たちへ与えた勇気は測り知れないものだろう。レゲエ界のタブーも変革の時を迎えたのか?それとも変わることはないものなのか?この先どういった方向に進むかはまだ分からないが、少なくとも新たな一歩が踏み出されたのは間違いようだ。

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