【インタビュー】TURTLE MAN’s CLUB | チャリティ企画 KOTODAMA PROJECT(コトダマプロジェクト)

Interview & Text by BUZZLE MAGAZINE 編集部

レゲエの力で人の命を救う。チャリティ企画 KOTODAMA PROJECT(コトダマプロジェクト)を運営するTURTLE MAN’s CLUBにとって、それは決して大袈裟な表現ではない。アーティストやサウンド(DJ)等とタッグを組み音楽の言霊を落とし込んだ彼らのアパレルの売り上げはこれまで、自殺を減らす、子供たちの居場所を作るNPO法人へ寄付され、今月からはレゲエ発祥の地ジャマイカの社会的弱者をサポートするNPO法人へ寄付される予定となっている。彼らのアイデアとアクションは、レゲエの力を寄付金という形あるものに変換することに成功したのだ。来月でプロジェクト発足から 1 年、寄付金総額100万円到達を目前に控えたTURTLE MAN’s CLUB代表のPANCHO氏に、活動にかける想いを聞かせてもらった。

(KOTODAMA PROJECT スタッフ一同)

−「KOTODAMA PROJECT」をスタートさせたキッカケは?

TURTLE MAN’s CLUB:音楽ジャンルに限らずですが、特にレゲエのメッセージの力は凄いと昔から思っていました。自分でいえば、MASAZABURROの『STARS』という曲の「だいじょうぶ~全てうまくいく~」ってパートを色々面倒くさい時とかに口ずさむ癖があって、口ずさむだけでなんかそんな気がして「この言葉効くわ〜」と思ってました。でも音楽も24時間聴けるわけでもないし、歌詞書いて財布に入れとくのも何か変な人みたいやしなーとか思ってる時に、Tシャツとかアパレル商品にしてお守りみたいに着たらいいやんと考える様になりました。

− レゲエのメッセージを伝える手段として、CDなど音楽としてでなくアパレルでというアイデアが斬新ですね。

TURTLE MAN’s CLUB:「着るレゲエ」ってオモロいですやん(笑) 飲む点滴ポカリスエットみたいで。曲を届けてくれるイケてるセレクターは十分いるし、アーティストもいる。けど、音楽が好きで普段から聴いてるけどクラブやライブに来ない人もいる。でも自分たちはウェブショップを運営してるし、みんなが現場で発信してくれている分、僕たちにも違った音楽の届け方はあると思って。

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「焦りは禁物SLOW BURN」DUNNS RIVER

− TURTLE MAN’s CLUBだからこそできる届け方なんですね。

TURTLE MAN’s CLUB:そうですね。あと、自分たちがプライドを持てるTシャツを着たかったというのもあります。そこまで言うと考え過ぎかも知れないけど、LAの人が2PacのTシャツを着たり、NYの人がヤンキースのニューエラをかぶる様に、自分たちがレペゼンできるTシャツを着たかった。自分にとってのリアルは遠くの誰かになることではないし、ずっとやってきたのはレゲエだし、どこの人間かといえば日本だしっと思って。誕生日の歌を母国語で歌ってない国って日本ぐらいという話も昔聞いて、日本語の音楽のイケてるアパレルを作りたい気持ちはずっとあります。

(Tシャツを製作するPANCHOさん)

− イケてるアパレルという部分でも、KOTODAMA PROJECTはただ言葉を落とし込んでいるだけでなく毎回デザインも素敵ですね。デザインもTURTLE MAN’s CLUBで行っているんですか?

TURTLE MAN’s CLUB:そうです! ZINGA oneという、大阪のサウンドSWAG BEATZであり、TURTLE MAN’s CLUBのデザイナーがやってます。毎週デザインを仕上げて賛同してくれた方にOKを貰うというメチャクチャなハードルを超え続けています(笑) アイデアはあっても形にするのが難しい所だったのですが、自分たちTURTLE MAN’s CLUBのアパレル商品を製造する為に小規模な工場を作っていたのも、プロジェクトが形にできると思えた大きなキッカケでした。やりたいことと現状が繋がった感じです。

(デザインを考案中のZINGA oneさん)

− 音楽に始まり、ウェブショップだったりアパレル工場だったり、積み重ねてきたことが繋がるタイミングだったんですね。

TURTLE MAN’s CLUB:そうですね。コロナの影響もあって街の空気がどんよりしてて、マスクしろだの、ワクチン打てだの、みんな自分の正解の中で生きてるが故にギスギスしてるなーとも思っていました。でもそんな中でも誰かの為に動いてる人はずっといるし、自分たちはなかなか動けないけど、サポートはできるんじゃないかな?とか思ったりして。そんならみんなが好きな歌詞のお守りみたいな服を僕らが作って、お客さんはただ買うだけで社会の為に活動している人を自動的にサポートできたら全員ハッピーやんっと。それが形にできるなら名前は「コトダマプロジェクト」やんって話しててメンバーで決めました。

− 売り上げの一部を寄付に充てられているとのことですが、その寄付先は?

TURTLE MAN’s CLUB:初めは、音楽の言葉の力を必要としている精神的に疲れている人や自殺願望まで持ってしまってる人の為にやりたくて、自殺を減らす為に活動しているNPO法人の「ゲートキーパー支援センター」と「あなたのいばしょ」に寄付させてもらいました。その2つのNPOと話した際に、共通して言われていた未成年の自殺率の話を聞き、その次はNPO法人「ONE LOVE」という子供たちの放課後学習支援で子供たちの居場所を作ってる団体さんに寄付しました。そして今月6月からは、自分たちの活動のベースになってるレゲエ、その音楽が生まれ続けている国ジャマイカの為に活動している日本のNPO法人「LINK UP JAJA」の為に寄付を集めています。自分たちも探り探りな所もあるのですが、できるだけ縁も大事に、顔が見える人と共感、賛同してくれる方たちの為に動きたいと思っています。

*関連記事【インタビュー】永村夏美さん (NPO法人 LINK UP JAJA 代表) | ジャマイカと日本を繋げる

− 寄付金の総額がもうすぐ100万円に達するということですが、当初からここまで大きなプロジェクトになると想像されていましたか?

TURTLE MAN’s CLUB:まったく(笑) 10万円目標ってメンバーに言うだけで照れるぐらいでした(笑) でもこの金額は売れ枚数と比例してる部分も勿論あるんですが、参加してくれた方々の中に自分のお金も寄付しといてっと言って渡してくれる方もいます。やっぱりレゲエの人は熱いなと思わされてます。なのでプロジェクトととしてTURTLE MAN’s CLUBが主導でやってますが、賛同してくれた人のお陰で寄付金額が大きくなってきた状況です。なんやったらレゲエのみんなでやりません?とすら思ってます(笑)

− PANCHOさん自身も精神科や心療内科を受診していた時期があったと伺いました。そんな中でも一番の拠り所は音楽だったと。

TURTLE MAN’s CLUB:そうですね。僕の場合、かなり軽度なもので数回受診して10分ぐらい話して薬もらうぐらいでした。僕の場合は貰う薬よりレゲエの方が効きましたね(笑) その経験から重度の人がかなり苦しいのは何となくですが想像が付きました。あと、心療内科へ行ったことがあるとか情緒不安定ってだけで「病んでる」とか「メンヘラ」みたいな言葉で適当に線引きして排除する社会も可笑しいと思いますね。人生色々重なってネガティブになってたまにオカしくなるぐらいのことは普通にあるし、そんな人を自分は助けることはできないけど馬鹿にはしたくない。そんなもん精神的な風邪みたいなもんなんで。軽度ならレゲエで少しマシになるよって思ってます。

– そういった経験があったからこそ、チャリティ活動へと繋がったんですね。

TURTLE MAN’s CLUB:そうですね。自分みたいな人のために時間を使いたいと思いました。あとチャリティとか、その類の人の情が絡んでくる事は偽善的に感じる時も勿論あったんですよね。駅前で大声で募金集めてる5人組見て、そんな募金必要なら日雇い行って1万づつ稼いで5万集めた方がええんちゃう?とか。結構ドライに社会を見てた時期もあったりして。でも自分も大人になって見る角度も少し変わって、「現状を大声で伝えたいという気持ちもあるのか~」とか、「なんか分からんけど誰かの役に立ちたい!そんな自分でいたい!って思いで動いてる人もいるか~」とか、「良い人ぶって」「まずは〇〇を幸せにしてから言え」とか、考え方の角度はいくらでもあって、全部に気を取られてネガティブに考え何もできなくなるのが一番良くないので。たとえ偽善でもいい方に繋がっていくなら善か、と考える様になりました。

(寄付先「NPO法人ゲートキーパー支援センター」理事長 竹内さんとPANCHOさん)

− KOTODAMA PROJECT発足から来月で1年を迎えますが、今後のプランは?

TURTLE MAN’s CLUB:続けます。もちろん参加してくださる方々がいて続けられるので、勝手には言えないのですが続けたいです。僕も急に連絡して参加してくださいと言うのも厚かましい気もしてて、もし参加してくれるという方がいればいつでも連絡欲しいです。音楽の好き嫌いとかは誰だってあるし、自分もありますが、自分は普段聴いてないアーティストの方でも、その言霊を必要としている人がいるなら、やる価値はあるしできるなら力を貸してもらいたいです。あと具体的になりますが、今使用しているTシャツのボディを近いうちにもう少し強い物に変えます。凄いハイブランドとか凄いオシャレな形を作りましたって話ではないけど、もう少し長く着れるボディにします。レペゼンできるTシャツなら長く着れる方がいいかと思うんで。

− BUZZLE MAGAZINEとしてもぜひ力添えさせてもらいたいです。これからの活動にも期待しています。

TURTLE MAN’s CLUB:ありがとうございます! レゲエや自分たちが好きな音楽は、どこか反社会的で一般的に言う「不良」の音楽ではあると思うのですが、未来の社会にとっては「超優良」というのを気づかせたいですね。なのでこの活動をBUZZLE MANGAZINEさんの様に取り上げてくれたり、新聞、テレビ、ウェブマガジン、活動を知ってくれている方々が広げてくれるのはとても有り難いです。発信力のある皆様、よろしくお願いします!

KOTODAMA PROJECT

音楽の歌詞や言葉からインスピレーションを受けデザインされたアパレルをアーティストやサウンド(DJ)等とタッグを組み、毎週金曜日に公開し2週間限定で販売するチャリティアパレル企画。売り上げの一部を社会の為に活動するNPO法人へ寄付します。

KOTODAMA PROJECT ▼
TURTLE MAN’s CLUB MARKET

《参加者》
三木道三 aka DOZAN 11さん、DO THE REGGAEの皆さん、J-REXXXさん、BANTY FOOTさん、CHEHONさん、OGAさん、PETER MANさん、I-VANさん、PIKKALさん、EXPRESSさん、TAKAFINさん、PART2STYLEさん、導楽さん、BAD GYAL MARIEさん、NANJA MANさん、KING LIFE STARさん、ONEDERさん、24×7 RECORDSさん、BARRIER FREEさん、MASAZABURROさん、FUJIYAMAさん、Mi-Iさん、EMPERORさん、RAM HEADさん、SWEETSOPさん、CHUCKY SMARTさん、MISTA NESTAさん、ARAREさん、ROCKERS ISLANDさん、Spinna B-ILLさん、 HUMAN CRESTさん、BOXER KIDさん、ZERO MOVEMENTさん、PAPA Bさん、REALIZEさん、DUCATI DANCAZZZさん、MIGHTY JAM ROCKさん、LEF-Tさん、OKAMAIさん、MADKOHさん、HACNAMATADAさん、SHADYさん、LIBERTYさん、DUNNS RIVERさん

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