【インタビュー】HIBIKILLA『WAGMI』| レゲエとお金とNFT

Interview by Luma
Text by BUZZLE MAGAZINE 編集部

昨今「NFT」というワードをよく耳にするようになった。ただ、聞いたことはあるが具体的に何なのか?という人も少なくないのが現状だろう。そんな中、トレンドをいち早くキャッチしたアーティストHIBIKILLAが、ジャパニーズレゲエ初となるNFT楽曲『WAGMI』をリリースした。音楽は稼げないと言われる時代、シビアな現状の中でNFTに見出した可能性とは? NFTはゲームチェンジャーとなりえるのか? 未知の世界ではあるが、「セルアウトせずダンスホールの世界で利益を出したい」と語るインタビュー中の彼のポジティブな言葉と表情は、シーンの明るい未来を想像させてくれるものだった。

− 今作『WAGMI』はレゲエやダンスホールではなく、アフロビーツの楽曲というのがまず印象的でした。

HIBIKILLA:はい。僕が個人的にここ数年ハマってる音楽です。2013年ごろナイジェリアから発祥した音楽でWizKidやDavid、それからBurna Boyなどが代表的アーティストです。あと最近僕が好きなのはAyra Starrっていう女の子のアーティストです。

− アフロビーツって今、世界的にもヒットしているジャンルですよね。ここまで広がった要因って何だと思われますか?

HIBIKILLA:ダンスホールのリズムに対して、R&Bのおしゃれなコード進行をハメたっていうのがかなり特徴的で。ジャマイカの音楽がレゲエからダンスホールに進化する上で失ってしまったもののひとつに、コード進行があります。『Sleng Teng Riddim』などがいい例ですが、コード進行が極度に単純化されてしまっている。ダンスホールのいいところはまさにビート、リズムのおもしろさだと思っていますが、そこにしゃれたコード感が入っているのがアフロビーツの新しさです。ここ数年はジャマイカにも逆輸入されている新しいトレンドですね。

NFTとして楽曲をリリース

− HIBIKILLAさんとしては新たなジャンルで、さらに楽曲をNFTとしてリリースするという新たな動きをされていますね。自分自身NFTに対してまだ勉強不足で… まずはNFTとは何か簡単に説明していただけますか?

HIBIKILLA:NFTとはNon-Fungible Token(非代替性トークン)のことで、簡単に言うと、デジタルデータとセットになった台帳ですかね。今までの世界だとデジタルデータは無限に複製が可能です。なので、例えば音楽はレコードの時代からデジタル化が進むにしたがって音源の価値が下がっていきましたよね。ところが、ブロックチェーン技術を一種の台帳として使うと音楽やアートのようなデジタルデータであっても、発行者や今までの取引履歴がブロックチェーン上に記録されて来歴を証明できるので、コピーされたものかオリジナルであるかを簡単に証明できるといった感じです。またスマートコントラクトという技術でユーザー同士の取引が可能になったりもします。

− なるほど。これまで簡単に複製できてしまっていたデジタルデータに希少性を与えることができるんですね。

HIBIKILLA:そういった(希少)価値がブロックチェーンによって担保された音楽を「Music NFT」と呼びます。

− ありがとうございます。それでは、今回NFTとしてリリースされた話題の曲『WAGMI』のタイトルの意味を教えていただけますか?

HIBIKILLA:「We Are Gonna Make It」の略で「みんなで勝ち上がっていこうぜ」という意味合いです。元々アメリカのボディビル選手が言ってたらしいんですけど、それが仮想通貨などのトレーダーの流行語になったみたいです。誰かを蹴落とすより、みんなで上がろうっていう思想ですね。

リリックの中にもNFTに関する用語のような単語も散りばめられていますね。

HIBIKILLA:そうですね。NFTでリリースするならまずは仮想通貨やNFTやWeb3そのものをテーマにした曲を作るべきだと思ったんですよ。こちらのコミュニティに認めてもらわないとリアルじゃないなと思って。実際にNFTとかクリプトが好きだっていう人に聴いてもらえないと話にならないなと。

− なるほど。レゲエファンだけじゃなく、そちらの世界にもしっかりと伝わるように考えられているんですね。

HIBIKILLA:はい。あとは、サトシ・ナカモトっていう人がリリックで出てくるんですが、この人は2009年に最初の仮想通貨であるビットコインを作った開発者って言われているんです。謎多き人物で、ビットコインを60兆円分持ったまま2013年ごろを境に消息不明となってしまったという経緯があって。だから誰もサトシ・ナカモトが誰かを知らないんですよね。

− 誰か分からないから、亡くなったかも分からない。もしかしたらあの人がそうじゃないかってことですね。

HIBIKILLA:はい。サトシ・ナカモトは数名のグループ説もあります。仮想通貨は暗号資産とも呼ばれるように、まさに暗号を駆使するハッカー文化がベースにあるので、匿名で活動する人が多い。だからあいつがサトシ・ナカモトかもしれないし、なんなら俺がサトシ・ナカモトかもしれないという。タイガーマスクの別名「伊達直人」でランドセルを寄付する人と同じで、匿名だからこそのポジティブな文化もあるよね?っていうメッセージを歌詞に含んでいますね。

− みんなに成功のチャンスがある、だからみんなで上がろうぜ「We Are Gonna Make It」ってことですね。

HIBIKILLA:そうですね。自由の精神というか、ランキンさん(Rankin Taxi)の曲『さよなら好きになった女』の歌詞で「生まれて学校行って働いてボケて死ぬまで 楽しい人生苦しい人生紙一重」ですよ。せっかく生まれたのに、ネガティブに生きていったら働いて終わっちゃうよっていう。自由な精神を手に入れていきたいです。

アーティストとファンの関係性が変わる

− 歌詞に込められたHIBIKKILAさんの意図を紐解くためにも、まずWeb3の世界観の理解が先決だと思うんですが、簡単に説明していただけますか?

HIBIKILLA:本当に簡略的に言うと、今まではGoogleやFacebookなどテック大企業のアカウントでインターネット上のIDを登録していたと思うんです。こうしたサービスは便利な一方で、個人情報の漏洩などが度々起こっていますよね。またリターゲティング広告って聞いたことがあると思うんですけど、心の中を読んでるかのような商品が広告に出てくる。あれってその人の年齢や性別、住んでいる地域や検索履歴などの個人情報が悪い言葉で言うと監視されていて商品をオススメされるんですよね。

− 確かに。勝手に同じ広告が流れてきたりしますね。

HIBIKILLA:欧米では数年前からそういうテック大企業の中央集権性を問題視するという流れがあって、2019年にはEUでGDPR(EU一般データ保護規則)という法律が制定され、個人のプライバシー保護がより一層重視されるようになってきました。そうしたGoogleやFacebookに依存するのはやめようっていう流れがあるけれどじゃあどうすればいい?ってことになりますよね。そこで企業にIDを管理される今までのやり方を捨てて、個人が自分自身の個人情報を主権的にコントロールすればいいというDIDと呼ばれる思想が生まれた。Web3はブロックチェーンや仮想通貨やスマートコントラクトやDIDやMetaverseなどさまざまな技術の総称ですが、インターネットの現状(Web2)へのアンチテーゼ的な思想が強いですね。

− そういった動きは音楽業界とも関わってきますか?

HIBIKILLA:私がやっているNFTもそのひとつ。NFTでファンとアーティストの付き合い方、関係性が変わってくると思いますね。あとはMetaverse(仮想空間)上でのライブも盛り上がっています。2020年にTravis Scottがゲーム『Fortnite』の中でライブをやったのが先駆的事例ですが、今年は国内レゲエ勢も三木道三さんやUJ-Tysonさんが『cluster』という仮想空間の中でライブやっています。

− NFTでファンとの関係性が変わるというのは具体的にどういった意味ですか?

HIBIKILLA:既存の音楽活動におけるアーティストとファンの関係性を考えると、インスタやツイッターのフォロワー数で評価されたり、その中に濃いファンが何人いるとか関係なく1万っていう数字は1万なんだよっていう世界観で。また濃いファンが自分の推しに対する貢献ってAKB方式みたいに同じCDをたくさん買うとかだったわけじゃないですか。ただ、買ってもゴミの日に捨てちゃうとかだと倫理的にどうなんだみたいなモヤる部分がありました。そういうアーティストの音楽活動におけるファンとの関係性でモヤモヤしていた点をNFTをうまく活用すれば変えていけるかもしれません。例えば、私は私のMusic NFTを持っていることで参加できるDiscordコミュニティを作っています。つまりMusic NFTは音楽そのものというだけではなく、会員証の機能も持つわけです。また、コミュニティ内では「次にリリースする曲のアートワークはAとBどっちにする?」とか投票を行ったりしています。つまり今度はNFTが株券みたいな使い方です。言ってしまえば、アーティストとファンが会社と株主みたいな関係性になるわけですし、ただ推しに貢ぐのが貢献なんじゃなくて、こういうアーティスト発信の投票やガバナンスに参加することがコミュニティへの貢献となる。それに、NFTの価値が上がればそれを高値で売却したっていい。アーティストとファンとの関係性が変わってくるというのはそういうことです。

− なるほど。ファンからしてもアーティストに還元できていることが喜びだったりしますもんね。先の説明にもあったように、Web3は個人間でやり取りを行うという部分が大きいと思いますが、HIBIKILLAさんがおっしゃってた自分のコミュニティを作るっていうのは個人間取引を行うっていうことになるんですかね。

HIBIKILLA:そうですね。NFTは改ざんできないブロックチェーンとスマートコントラクトで信頼を担保しようっていう思想だから、中間に何かが挟まる余地がないんですよね。今まではファンにとって自分が支払った金額はアーティストに入っているのか?って心配事があると思うんですが、NFTはファンの払ったお金がそのまま推しのアーティストに入るパーセンテージも今までになく高いというメリットはあると思います。

− 確かに仲介業者が入るとその分手数料がかかってしまいますよね。例えば、サブスクの音楽配信サービスって月額1,000円以内で入れると思うんですけど、アーティストにはどういう配分になっているのか気になります。

HIBIKILLA:Spotifyだと、アーティストがわずか1ドル稼ぐのに必要な再生回数は239回も必要で、2020年度にSpotifyで5万ドル(約550万円)以上稼いだのは全ミュージシャンの0.8%だけだと言われています。要は年間1000万回以上再生されないと食えるレベルまで到達しないのが現状なんですよ。

− かなりの再生回数ですね。CDも売れないと言われている時代ですし、メガヒットアーティスト以外はライブで稼ぐしかなくなりますよね。

HIBIKILLA:CDが売れなくなった2005年ぐらいから今までの15年近く、アーティストはみんな苦しい生活をしていたと思うんですが、これからは違うとなっていくといいですね。ライブで稼ぐのも1つの正解ですが、コロナの影響は痛かったですよね。かなりの音楽イベントが2年にわたって中止になってしまった。そういった困難な状況だから私はNFTに可能性を見ているというのもあります。

− 例えば、販売当初『WAGMI』は3,000円ぐらいで購入できたと思うんですが、その価値が下がることもあるんですよね。アーティストとしてはそれは避けたいと思うんですが、そこのコントロールってどのようにしているんですか?

HIBIKILLA:インフレとデフレのコントロールをしようとしてて。そのためにもホワイトペーパーというものを用意しています。そこに何が書いてあるかというと「流通量が合計で100枚です。もし4月30日までに売れ残ったら残りは焼却(Burn)しますよ」と。

− なるほど。つまり売れ残ったとしても、結果的に世の中に売れ残ったものは存在しないことになるんですね。なので価値が下がらない。

HIBIKILLA:そうです。デフレが起こると価値が下がらないので最初からデフレの仕組みを設計します。そういったところの考え方はかなり金融的な感じですが。

− 市場をコントロールできるんですね。そもそもですが、NFTは仮想通貨になるんですか?

HIBIKILLA:NFTは仮想通貨の一種とも言えるんですが、NFT特別担当の平将明議員の発言などを見ると、日本の法律上NFTやガバナンストークンと仮想通貨とはまた別の税制にしていく流れがあります。NFTはお金の価値交換だけに使われるのではなくて、そのNFTを持っていることでファンクラブに参加できたりイベントに参加できたり投票する権利にすることもできるわけですが、そういったビットコインが生まれた時には無かった使い方をメインに行う限りにおいては法律上も優遇していくみたいです。

NFTが二次創作を生む

− NFTがダンスホールシーンに与える影響はどのようなものがあると考えていますか?

HIBIKILLA:今までと違う販売方法をしてこそのNFTだと思っています。ブロックチェーンを辿れば過去の履歴に遡れるから、その作品がどこからきたのか証明できると説明しましたよね。それを利用して著作権を開放していくこともできる。NFT所有者が自由に二次創作を作る権利を手に入れる。これはおもしろいですよ。

− なるほど。今回『WAGMI』でもアカペラとリディムを提供して、リミックスができるようになっていますね。

HIBIKILLA:そうですね。逆に言うと、この曲を買った人は著作権無しで使用できるよっていう。実際に『WAGMI REMIX』とかできているんですが、NFTさえ持っていれば二次創作が可能だよって。ここでダンスホールと好相性なのが、元々ジャマイカがやっていた1つのリディムでアーティストが歌ったり、『Sleng Teng』なんて何曲あるんだっていう状態だったり。そういう二次創作を合法的にでできるっていうのがおもしろいところですよね。

− 確かに、サンプリングというよりかまったく同じ作り方のリディムもあったりしますもんね。

HIBIKILLA:今までは著作権を無視してやっていたと思うんですよ。あんまり売れなかったら怒られないかなとか、ミックステープならいいかなとか、著作権が曖昧だったと思うんです。しかしこれからはNFTを持ってたら二次創作の権利があるのと一緒だからっていうルールを設定してもいい。そうすると二次創作のほうがバズったりもするかもね。僕の歌を使って、そっちの動画のほうがバズったねみたいなことが考えられる(笑) 法的にもクリアだし、これは結構おもしろいと思う。

− おもしろいですね。確認ですが、これはNFTだからというよりは、HIBIKILLAさんのホワイトペーパーにルールが書かれてて、この楽曲は二次創作可能ですってことにしているからですよね。

HIBIKILLA:そうですね。アーティストが規約を作ったりする労力は必要になりますね。

− 僕がNFTでできそうだと思ったのが、サウンドのダブプレートのNFT販売なんですが。あのサウンドのダブがいつでも聴けたらなって思っているファンがいたり、後継者がいないサウンドとか、最近現場に出なくなったサウンドとかにも愛情のあるファンがいると思うんです。そんなサウンドのダブをNFTで価値をつけて売るっていうのが叶えられるかなと思って。

HIBIKILLA:そういったことはできると思う。ただ、ダブの所有権はサウンドにあるけど、曲の著作権はレコード会社にあるから、そこは権利をどこまで使っていいかクリアにする必要はあるよね。たとえば3万円がダブプレートの値段だとして、そこでNFTにも使用するっていう契約をする。OKになれば、NFTを3万円で売ってもいいよねっていう。

− 自分が好きなサウンドのダブならお金を払ってでも聴きたいっていう方がいると思うんです。なかなかイベントに行けないし、ただとにかく聴きたいんだよっていう。ダブの制作費がダブ自体のビジネスで回収できれば、実質無料でサウンドもダブを切っていくことができる。そうしたらダブの制作も増えて、よりレゲエシーンの活性化に繋がるかなと。

HIBIKILLA:そうだよね。実質無料無限ダブプレート、あるかもしれないよね(笑)

− 実際僕が知っている中では、KING LIFE STARがオールダブの作品をミックステープではなくコンピレーションを出していたことがあって。ただそれって、一律で2,000円とかで売るので、収録されている総ダブの値段の何分の1なんだろうっていう。でもNFTで価値が出たら、それなりの値段で販売できますもんね。

HIBIKILLA:そうだね。ただ、ネームバリューがあるから必ずしも成功するわけではないっていうのがNFTのおもしろいところだよね。たとえば今ジャマイカでイケイケなSkillibengも、いくつかNFTで出してたけど売れなかったからサイトごと閉鎖してたりとか。日本でも有名人が出すから売れるというわけでは全然ない。アーティストやマネジメント側がしっかり理解してないと成功しないような気はするね。二次流通での販売価格だけじゃなくて、その後の二次流通価値の推移までがNFTの設計だから、金融的な面の設計をうまくやらないとユーザーからクレームが来たり、高すぎて買えないよってなるっていう。

レゲエシーンのリアルな金銭事情

− もっとレゲエシーンの中でお金の動きが激しくならないとなとは感じてて。制作したお金がすぐにアーティストに還元されて、次の音楽が生まれるサイクルを作るべきだと思います。HIBIKILLAさんはそういうことを考えてらっしゃる印象があるんですが、シーン全体が盛り上がるためのシステムってどうやって構築していけばいいと考えていますか?

HIBIKILLA:いやらしい話、僕はそういうことばっかり考えているんですよ(笑) どうやったら才能のあるアーティストやサウンドのみんなが音楽でお金儲けしてまた音楽ができるサイクルを作れるのか。みんなそうだと思うんですけど、音楽好きで始めて、多少ギャラが出るようになって、これで食っていきたいなと思っても現実問題難しいじゃないですか。音楽だけで100万円稼いだとしても他の仕事もしないと厳しいよね、200万円だとギリギリだよねっていう感じだと思うんですよね。その上に行きたいと考えたら芸能界かYouTuberか、どちらも音楽からは離れていっちゃう。

− そうですね。レゲエのクラブやライブハウスの規模でのライブだと、アーティストのギャラにも限界がありますよね。

HIBIKILLA:そう。だから音源単体でも儲けを出したい。けど、音源を作るのが一番お金かかりますから。トラックメイカー、スタジオ…… スタジオだけでもレコーディング、ミキシング、マスタリングと3回に渡って支払わないといけない。ジャケットのデザインもミュージックビデオ撮影もある。すべてを自分一人でやるなら別だがどれだけ頑張っても最低5万円から10万円とかはかかる。生バンドとか客演考えたらもっとかかる。ミュージックビデオまでのフルセットでとなったら1曲に50万円とかかかるケースもあるだろう。それをライブと物販で回収しようってなっているのが現状。でも、これからは音源制作にかけたお金をMusic NFTで回収するモデルが可能になるかもしれない。そこにライブのギャラを足せば、音楽で食える人が増えてくんじゃないかな。そうなるとリリース量も増えて、業界の動きが活発になってくる。

− そうですね。制作費でそれだけかかるのに、ライブだけで稼ぐのは難しいですよね。

HIBIKILLA:僕も42歳なので若手をどんどんフックアップしたいなと思うんですが、若手をプロデュースとかだけじゃなくて、まずは自分が稼いでいるモデルを作ることも大切かなっていう。もちろんデモテープ持ってきてくれたりするのは大歓迎ですが、それだけじゃなくて。ぶっちゃけ今は食えていない人が多いと思いますから。いや、食えるんだよって証明したいです。NFTはそのゲームチェンジャーになる可能性がある。

− 今回実際に『WAGMI』をNFTで販売してみて、配信と比べて売上はどうだったかって聞いても大丈夫ですか? かなり突っ込んだ質問になってしまいますが。

HIBIKILLA:いや、大丈夫です。そういったリアルも含めて伝えられたらと思います。みんなそういうのが好きですし(笑) 実際に僕が売り上げたNFTなんですが、『WAGMI』と『Risin’ to the top feat. Laya』の2タイトルで1.9ETH(イーサ)。これは2022年7月29日現在のレートで日本円換算すると約44万円。なので、NFTだけで制作費をペイできたということになりますね。今までは配信で回収しようとしたら、最低でも1年以上かかってたんですよ。どれだけヒットしても回収できるかな?っていうスパンの話で。回収までのスパンが大幅に縮まったっていう感じです。

− リアルな数字までありがとうございます。これを見てやりたいって思う人が増えたらいいですね。

HIBIKILLA:そうですね。

− 今回このシステムを構築して利益が出るまでに壁になったことってありますか?

HIBIKILLA:壁になったのは、元々のファンの方が仮想通貨を使用するまでの壁が大きすぎて買えなかったっていう部分ですね。

− なるほど。確かにウォレット設定だったり、なかなかハードルが高い気もします。

HIBIKILLA:そうですよね。ただ、僕がリリースした当初はできなかったんですが、今はiOSのMetaMaskというウォレットアプリではApple PayでETHを買うことができます。テクノロジーの進化が凄すぎるので僕もまだついていけないところもありますが。

− 実際にHIBIKILLAさんのNFTはどこで購入できますか?

HIBIKILLA:OpenSeaというNFTマーケットプレイスにおいています。これは4月30日までの販売で、今は二次流通で買うことができます。今持っている人から購入するっていう感じですね。

− 二次流通でも製作者のHIBIKILLAさんにお金が入ってくるんですよね?

HIBIKILLA:そうですね。OpenSeaで製作者への還元率も決めることができて、自分は5%で設定しています。中古盤とは違って二次流通でもアーティストへの還元が発生します。

NFTでレゲエシーンは変わるのか

− 新たにNFTでの楽曲リリース予定はありますか?

HIBIKILLA:6月にはLayaさんというR&Bのシンガーをフィーチャーした『Risin’ To The Top』をリリースしました。曲の内容は「上がり続けるぜ」っていう歌です。男女が高まり続けるっていうセクシーな曲になるんですが、男と女で高まっていくのが表テーマで、私たちが作っているNFTの価値は上がり続けるっていうのを裏テーマにしているという仕掛けですね。8月にはまた新曲『LUNA』をリリースします。これは先日大暴落した仮想通貨$LUNAを小悪魔的な女性に喩えたギャルチューンとなっています。

− おもしろいテーマですね。楽曲制作以外にも活動の予定はありますか?

HIBIKILLA:個人的な話ですと、結構な自粛生活を続けていたのにコロナウイルスのオミクロン株にかかってしまいまして。ワクチンを2回打ってオミクロン株にも感染しているので、逆に言うと最強の免疫体をもっていると言えるかも。まだイベント数とか回復していないし、いつまた大流行が来るかわからないので多くこなせないと思うんですが、ライブもやっていきたいですね。

− 大変でしたね。HIBIKILLAさんのライブを楽しみにしているファンの方もたくさんいらっしゃると思います。

HIBIKILLA:ありがとうございます。次に裏方目線でいうと、自分がNFTを使った音楽ビジネスを実証実験していますが、そのへんの話がしたいプロの方も連絡ください。

− そういった新しい動きも始まって、今後の目標などあれば聞かせてもらえますか?

HIBIKILLA:去年は『This World Riddim』っていうワンウェイを作って、そこにGalianoやACEMARKとか次世代アーティストを収録したんですけど、そういう若手フックアップの曲にも力を入れていきたいです。若手に音楽を金に替える経験値を積ませてあげたいですし。その上で自分も搾取的ではなくちゃんと利益を出す。これがまさに『WAGMI』なんですよね。それをちゃんとやっていきたい。ダサいことせずにダンスホールの世界でやっていきたいです。

HIBIKILLA

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【Audius】@hibikilla30
【OpenSea】WAGMI Music
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